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第212回国会 衆議院 議院運営委員会 第5号


○山口委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 

 早速ではございますが、質問に入らせていただきます。

 

 会計検査院は、国、政府機関の決算、また国が財政を援助する地方公共団体などの会計の検査、また、不適切また不合理な会計経理等を発見したときには、単にこれを指摘するだけではなく、原因を究明し、その是正や改善を促すなど、その役割は非常に重要であり、また広範であると思います。

 

 近年、会計検査の対象が複雑化、多様化、そして高度化している中で、人材育成や確保についてどのように考えているのか、まず考えを聞かせていただけますか。よろしくお願いいたします。

 

○原田参考人 御質問ありがとうございます。

 

 会計検査院が国民の期待に応えるような検査を十分に行っていくためには、現場の第一線で検査に携わる職員の専門的な知識を向上させること、これが必要でございます。

 

 会計検査院では、これら職員のスキルアップを図るために、内部で専門家を講師とした研修やセミナーを行うとともに、大学院に留学させるなどの外部機関による研修を行っております。

 

 引き続き内外の研修を充実させていくことはもちろんですが、社会経済や行財政の動向に伴い検査ニーズが変化していることも踏まえますと、研修の中身を適宜見直していくことが重要であると考えております。

 

 例えば、民間の知識や技術が行政にも大きな影響を与えるようになっていることを踏まえますと、デジタルに関する検査技術、財務分析に関する知識や民間の管理会計に関する知識を活用した検査技術などが、今後、より一層重要になってくることが想定されております。このため、そのような検査ニーズに対応した研修メニューを充実することなどが必要であるというふうに考えております。

 

 また、会計検査の対象は行財政全般と大変広範なものとなっていることから、研修等によるプロパー職員の育成だけではなくて、様々な専門的な知識や実務経験をお持ちの民間人を任期付職員や非常勤職員として採用したり、官民交流を行ったりするなどして多様な人材を確保していくこと、これも引き続き必要であるというふうに思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 現在、会計検査院の事務総局は定員が千二百五十一人、そして、この検査実施機関である事務総局は官房と五つの局という組織体制になっておりますが、先ほど来ございましたように、感染症や自然災害などへの緊急の対策など、当初から想定していないような、そういった案件も増えている中で、業務を適切に行うための組織や定員の在り方について、ICT、情報通信技術や、AI、人工知能の活用の考え方も含めて、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○原田参考人 会計検査院の事務総局の組織につきましては、財政全般を効率的に監視し、同時に社会経済の動向に的確に対応することができるように、検査対象をその事務事業の目的、態様に応じて分類しまして、第一局から第五局までの各課に割り当てるとともに、第一局と第五局には府省等を横断的に検査する課等を設置しております。

 

 また、これらの検査対象の割当ては、情勢の変化に応じて適宜適切に見直してきており、近年では、例えば、社会保障の検査の充実を図るために医療機関を検査する上席調査官医療機関担当を設置したり、また、御質問にもございました、AI等のデジタル技術を活用するなどして新たな検査手法の開発を行い各検査課を支援するために検査支援室を設置したりするなどの対応をしてきているところでございます。

 

 会計検査院も国家機関の一つでございますので、人員、予算の増についてはおのずから限度がございますが、委員御指摘のとおり、業務量の増大に対応するとともに、さらに検査機能の強化の要請等に応えるためには、これに見合った人員を引き続き確保するように努める必要があるというふうに考えております。

 

 一方、限られた人員、予算で最大限の成果を上げるためには、研修の充実強化に努めて、職員の検査能力の向上を図ったり、適切な検査計画を策定して、これに基づいて検査を効率的に実施したり、また、デジタル技術の活用等により検査効率の向上を図ったりするなど、各種の施策を講じていくことも重要であるというふうに考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 それでは、最後の質問とさせていただきますが、中長期的な展望に立った研究開発関連事業の検査におきまして、成果以外にどのような点を考慮しようと考えているのか。また、GX関連の事業におきましては、例えば太陽光発電の導入の成果だけではなく、その持続可能性など、こういった視点も必要なのかなというふうに考えますが、このような課題につきましての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○原田参考人 会計検査院が検査を行うに当たりましては、例えば事業をめぐる様々な事情も勘案しまして、また事業を実施する者の意見にも十分耳を傾けながら、事業本来の目的を達成するためにはどのような在り方が望ましいのかということを追求していくことが重要であるというふうに考えております。

 

 そして、今お尋ねのありました研究開発事業やGX関連事業につきましても、委員御指摘のとおり、ある時点における成果のみで判断するということではなくて、持続可能なものとなっているかなどの中長期的な観点からの検査、これも重要であるというふうに考えております。

 

 仮に今回同意をいただき検査官に任ぜられた場合は、このような中長期的な観点からの検査にも十分留意しつつ、事務総局を指揮監督してまいりたいというふうに考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 原田参考人におかれましては、事務総局での経験を存分に生かされることを期待し、私からの質問を終わらせていただきます。

 

 ありがとうございました。