第211回国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会議録 第6号


○橋本委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。心より感謝を申し上げます。

 

 早速でございます、質問の方に入らせていただきたいと思います。

 

 まさに今日、高齢化や人口減少に伴う労働人口の減少、これが国民生活を支える様々なサービスの現場に深刻な影響を与えていることと思います。特に公共サービスにおいても人材不足は深刻、一方で、国民のニーズが多様化、複雑化する中で、迅速かつ的確に業務を進めるためには、行政のデジタル化というのは必要不可欠であるというふうに思います。

 

 そこで、今回はマイナンバーカードの利活用の促進ということが進められるわけでございますが、まさにこれによって便利で効率的な行政サービスを展開をしていただきたい、このように思っているところでございます。

 

 そこで、初めに、マイナンバーカードとスマートフォン等などを活用して公的個人認証により様々な行政手続を可能にすることで、自治体の職員の負担軽減や省スペース化も図りながら、行政を更によりコンパクトで効率的にしていくことが大事だと思いますが、まさにその中で、書かない窓口あるいは行かない窓口、この推進について具体的にどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○山本(和)政府参考人 お答えいたします。

 

 委員御指摘のとおり、少子高齢化を伴う人口減少が進む中で多様なニーズに対する行政サービスの提供をしていくためには、自治体行政事務のDXを進めまして、行政の業務の効率化が求められているものと考えます。

 

 まず、書かない窓口の取組でございます。

 

 これは、住民にとっては、窓口を何か所も回らず、何度も同じことを書かず、とても便利になったと実感していただけるものと考えます。また、自治体職員にとりましても、庁内の情報を活用することでの入力作業の削減等による業務の効率化につながっておりまして、デジタル化による住民の利便性向上及び自治体の業務効率化の好事例としてその横展開が始まっているところでございます。

 

 この書かない窓口につきましては、デジタル田園都市国家構想交付金での支援に加えまして、デジタル庁といたしましても、自治体が新たに導入する際に必要な業務の見直し、BPRをサポートするアドバイザーの派遣を間もなく開始いたします。また、必要となる機能であります窓口DXSaaSのガバメントクラウド上での提供を本年夏以降に開始していくよう準備を行っているところでございます。

 

 次に、行かない窓口に関してでございます。

 

 マイナンバーカードの普及に伴いまして、多くの行政手続がスマートフォンで完結し、どこからでも手続をできるようになることは、まさにデジタル社会の目指すところでございます。マイナポータルでのオンライン申請等の行かない窓口の推進も視野に、デジタル庁といたしまして、自治体業務見直しのサポートを進めてまいる所存であります。

 

 誰もが便利なデジタル社会の恩恵を受けられるよう、関係省庁及び地方自治体とも連携して進めてまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。是非積極的に推進をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 そして、このような形でデジタル化が進んでいく。各省庁において、様々な申請や情報連携について、まさにオンライン化が加速します。

 

 そして、デジタル先進国と言われているデンマークなんですけれども、国、地方自治体別、さらにサービス提供主体別にそれぞれ異なるポータルサイトはあるんですけれども、しかし、アクセスする窓口、それが一元化されているというか、いろいろなレイアウトだとかデザインが一元化されて、分かりやすくされているということでございます。

 

 まさに我が国においても、各省庁や機関や自治体等での業務のデジタル化において、様々な手続や情報共有を公的なアプリやウェブにおいて行う場合の一貫性のある操作性や操作デザインなど、利用者目線に立って仕様を統一することも非常に有意義だ、このように思います。

 

 そこで、国民の皆様がオンライン手続などを行うマイナポータルの操作性や情報、レイアウト等の統一について、当局の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○村上政府参考人 お答え申し上げます。

 

 まさに、マイナポータルは様々なオンライン手続の入口として共通にお使いいただくものでございまして、まず第一に、御指摘の操作性、絶えざる改善が必要な分野というふうに思ってございます。

 

 現状でも、これまで批判のあったページに対しまして、見つけるをサポート、調べるをサポート、忘れないをサポートという入口から、見つけるの中を見ていただくと、出産する、海外に行く、引っ越しをすると、かなり直感的に分かりやすいインターフェースに変えつつあるところでございますが、引き続き、様々な方の声を聞きつつ、改善をしてまいりたい。

 

 それからもう一つ、御指導いただきましたとおり、ポータルから先はそれぞれの自治体であったり省庁であったりという面がございます。特に自治体の関連、そもそも入力項目がばらばらとか、求めているものが違うじゃないかといったような御批判もございます。

 

 最終的にはそれぞれのシステムはそれぞれの機関でお作りをいただくしかないんですが、デジタル庁の方では、標準的な入力項目の画面というものを用意をさせていただいて、極力こういったものを使ってくださいといったようなところを勧めさせていただきながら、御指摘いただいた一貫性ということについても、できるだけちゃんと進めていけるように取り組んでまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。

 

 次に、戸籍等への振り仮名名の記載について伺います。

 

 戸籍等への振り仮名名の記載は、氏名の読み仮名が個人を特定する情報の一部であるということを明確にし、情報システムにおける検索及び管理等の能率、さらには各種サービスの質を向上させる点で大変に意味のあることであるというふうに思います。

 

 令和二年、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う十万円の給付金の支給の際に、住民票の氏名と片仮名で表記されている銀行口座の氏名の確認などに手間を取った経緯があると思いますが、戸籍等への振り仮名名の記載があれば、その確認などもスムーズであったと思います。

 

 戸籍等への氏名の振り仮名名の追加の手順は、書面又はマイナポータルによる氏名の振り仮名名を本籍地市町村にまず届出をして、その上で、本籍市町村と住所地の市町村との連携の下、戸籍、住民票、マイナンバーカードへの記載と、また、署名用の電子証明書に記録をするというふうに伺っております。

 

 ここで、この具体的な進め方なんですけれども、この法律の公布後二年以内の政令で定める日から届出ができるということなんですけれども、私はもうこれはできるだけ早く進めていくことが必要かなというふうに感じているんですけれども、この二年以内、そういう時間を要する理由についてまずお聞かせ願いたい。また、具体的にもう一つ、一定の期間が過ぎても氏名の振り仮名名の届出がない方へどのような対応がなされるのかについても、併せてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○松井政府参考人 お答え申し上げます。

 

 本法律案のうち、氏名の振り仮名に関する部分の施行日は、公布後二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 

 氏名の振り仮名に関する規定の施行に当たっては、国民に与える影響を考慮すると、氏名の読み方のルールのほか、現に戸籍に記載されている方に対する戸籍に記載する予定の氏名の振り仮名の通知や、市区町村が戸籍に記載した振り仮名についての変更の届出の手続など、十分な周知を行う必要がございます。また、市区町村の窓口対応に向けた事前準備を入念に行う必要もあるほか、市区町村における必要なシステム整備のための準備期間も十分に確保する必要がございます。これらを踏まえ、施行日を公布後二年を超えない範囲内において政令で定める日としたものでございます。

 

 本法律の施行日から一年以内に氏名の振り仮名の届出がなかった場合につきましては、本籍地の市区町村長は、住民票において市区町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報などを参考にして、あらかじめ本人に通知をした上で、氏名の振り仮名を戸籍に記載することとしています。さらに、この振り仮名が現に使用しているものと異なる場合には、一度に限り、家庭裁判所の許可を得なくても、届出により変更することも可能としているところでございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。丁寧に進められるということで、よく分かりました。

 

 続きまして、今法案にあります公金受取口座の登録促進のための特例制度につきましてお伺いを申し上げます。

 

 この特例制度は、デジタルに不慣れな方への公金受取口座の登録の促進を目的に、公金を給付している行政機関から受給者に対して、書留郵便等により口座情報等の登録に対して同意か不同意の回答を求めた上で、同意の回答をした方と、一定期間内に回答がない方の登録を可能とするものであると認識をしております。

 

 この公金受取口座の特例制度について、年金受給口座を想定しているということで伺っているんですけれども、今後、例えば児童手当の受取口座など、その具体的な対象の拡大の意向はあるのか、また、拡大をする場合に、その際の手続などはどのようになっているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○楠政府参考人 お答え申し上げます。

 

 今般の特例制度について、現時点において、年金受給口座以外のほかの公的給付の受取口座を対象とすることは想定をしておりません。あくまで、特に八十代以上の高齢の方々がなかなか御自分でスマートフォンで手続をするということは難しいということで、そういった世代の方々というのはおおむね年金でもってカバーができるというふうに考えておりまして、対象の拡大につきましては、この特例制度を踏まえた登録状況等を勘案して検討してまいることになるかというふうに考えております。

 

 なお、仮に対象を拡大する場合につきましては、口座番号等を保有する給付制度の所管省庁と密接な調整が必要となるなど、デジタル庁の裁量で対象の拡大が可能となるものではございません。今回、年金につきましても厚生労働省と密接に連携をして取り組んでおるところでございます。また、対象となる給付の受給者を始めとした国民の理解を得つつ、この意思決定を行う必要があるというふうに考えております。

 

 具体的な手続につきまして現段階で確たることを申し上げることはなかなか困難なところでございますけれども、例えば、閣議決定文書において方針をお示しすることでありましたり、あるいはパブリックコメントを実施するといった形で、政府として丁寧な手続を踏んだ上で進めてまいる必要があるというふうに考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 今回、マイナンバーの利活用の範囲も広がったり、マイナンバーカードの利用促進ということで、様々不安の声もあるんですけれども、実際、目的は、それぞれの、例えば厚労省の業務だとか国土交通省の業務だとか、その現場の利用目的が明確になった上で、そこと連携をしながら丁寧に進められるということで、よく理解をさせていただきました。ありがとうございます。

 

 続きまして、マイナンバーカードの保険証との一体化というのがあるんですけれども、この保険証との一体化というのは、マイナンバーカードと保険証番号の連携ということであると思います。

 

 そこで、既に、マイナンバーカードと保険証番号の連携では、紙の処方箋を電子化している電子処方箋というか、これがもうスタートしているものだと認識をしております。いわゆる、医療機関と薬局の間で患者の薬の情報をオンラインでやり取りをしていくということでございます。これはもう既に運用が始まっている状況と伺っております。

 

 医師や薬剤師が、患者一人一人のデータを参照して、薬の重複を防いだり、飲み合わせが悪い薬を避けたりできるメリットがある。さらに、かかりつけ薬局の薬剤師に薬の悩みを相談し、解決策をアドバイスしてもらう機会も増えるように思います。電子処方箋管理サービスのサーバーに管理されている医師の処方箋や薬剤師による調剤情報は、マイナンバーカードによる個人認証を得て、マイナポータルにて確認ができる、このようにも伺っております。

 

 ここで大切なことは、より多くの方がこういったものをしっかり利用していただくことが重要だと思うわけでございますが、そこで、まさに先ほどのデザインに関連するんですけれども、見やすさ、分かりやすさというものにしっかりと取り組んでいく必要があると思いますが、具体的にどのような取組がなされているのかお聞かせください。よろしくお願いいたします。

 

○村上政府参考人 お答え申し上げます。

 

 私自身も、現行ポータルで探すと、「わたしの情報」があります、その次に、医療、診療、健康何とかというところを探します、その次に行くと今度はプルダウンメニューがありまして、どれを選ぶんですか、何年何月から何日のですか、こういうところを選んで、その結果やっと結果が出てくる、こうなっているのが現状でございます。

 

 先行改修してリリースしていますアルファ版では、「わたし」というタブがございまして、私について調べる「わたし」のタブに行く。そこに行くともう直接、「薬」、「医療費」、「予防接種」というのが書いてありまして、「薬」というのを押していただくとそのまま薬剤情報が出てまいります。

 

 こういった形での改修をどんどん続けて、より使いやすいマイナポータルを目指してまいりたい、このように考えてございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 一方で、そのマイナポータルの情報を民間サービス事業者と共有をしながら様々なサービスも展開される、このように伺っておりますが、まさにそうやって、自分で見るよりも、民間のサービスを活用して、よりうまく表現していただいて、自分の生活に合った情報をタイムリーに入手できればいいのかなと思いますけれども、具体的に今後どのようなサービスの展開が想定されるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○山本(史)政府参考人 お答え申し上げます。

 

 電子処方箋の処方情報につきまして、マイナポータルを通して、電子版お薬手帳やその他の健康アプリなど民間事業者の提供するサービスでも閲覧、活用することを可能としております。

 

 これらの電子版お薬手帳などの民間のサービスにマイナポータルから得られた電子処方箋情報を取り入れることで、患者さんが自ら記録する一般用医薬品、あるいは要指導医薬品といった情報やお薬の副作用情報などと併せまして一元的な服薬情報の管理が可能となり、患者さんにとっても更なる利便性向上や健康増進につながるものと想定をしております。

 

 なお、厚生労働省におきましては、本年三月末に、お薬手帳を運営する民間事業者等におきまして対応が必要となると考えられます事項をまとめた電子版お薬手帳ガイドラインを策定いたしまして、その中で、マイナポータルとのAPI連携を電子版お薬手帳サービスとして最低限必要な機能として位置づけております。

 

 患者さんの利便性や健康増進に資するよう、引き続き民間事業者によるサービス開発も積極的に促進してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。国民の皆様の利便性と健康増進にしっかりとつながるような、そんな取組を進めていただければと思います。

 

 このような形でデジタル化が進む中でございますけれども、社会のデジタル化が進展し、個人が保有される様々な情報のあらゆる場面での利活用が進む中では、その安全性を確保し、個人情報を適切に保護する取組の強化も求められているところだと思います。情報通信技術の一層の発展により、それに伴う様々なサービスが登場する中で、不正アクセスの巧妙化など、個人データや個人情報を取り巻く環境は大きく変化をしています。

 

 個人情報保護委員会では、マイナンバーによりアクセスできる情報を含む個人情報が行政機関等や事業者等において適正に取り扱われるよう、指導助言、検査等を適時適切に行うとしております。

 

 そこで、国民の最も身近なところで行政サービスを提供する地方自治体等に対して、個人の情報保護についての指導助言、検査等が具体的にどのように行われるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 

 私ども個人情報保護委員会では、地方公共団体等に対する監視・監督方針というのを定めてございます。

 

 それによりまして、計画的に地方公共団体等に対しまして実地調査、立入検査を行いまして、規定ですとか、組織体制の整備状況ですとか、あるいは端末及びサーバーの管理等の状況なども含めまして、ガイドラインを我々は別途定めておるんですけれども、ガイドライン等々の遵守状況を確認いたしまして、もし、ちょっと至らないとか、必要に応じまして指導助言というものを行うとともに、改善が確認できるまでフォローアップをきちっとやってきております。

 

 それで、マイナンバーにつきましても、漏えいその他の事態を発生させるリスクの分析等というのを地方公共団体等自らに実施していただきまして、具体的な対策を講ずるための特定個人情報保護評価制度というものを我々は運用しておりまして、そのような取組を今後ともきちっとやっていきたいと思っております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 また、個人情報保護委員会では、官民の幅広い主体による地域や国境を越えた個人情報等の取扱いについて、保護及び適正かつ効果的な活用の促進のための取組を推進していると伺っております。デジタル社会の進展により、個人の様々な情報を利活用し、新しいサービス等を創出し、人々に新たな価値を提供することも期待される中、まさに、保護と、適正かつ効果的な活用の促進の取組の両立が重要であると思います。

 

 ここで、個人情報保護法は、自己情報コントロール権を保障するものでも、個人の情報の活用、利活用を制限するものでもなく、個人情報に基づいて個人の評価や選別が行われるなど、個人の権利や利益が阻害されることを防ぐものと考えてよいのか、見解をお聞かせください。

 

○山澄政府参考人 お答え申します。

 

 まず、委員御指摘ございました、言及がございました自己情報コントロール権というものを少し申し述べますと、その内容ですとか範囲及び法的性格に関しまして様々な見解がございまして、明確な概念として確立しているものではないというのが私どもの認識でございますが、その上で、私どもが所管しております個人情報保護法の第一条というものにおきまして、個人情報保護法の目的につきまして、若干省略させていただきますけれども、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」というふうに明記してございます。

 

 個人情報保護委員会といたしましては、デジタル社会の進展に伴い、個人情報の利用が著しく拡大していることを踏まえまして、個人情報の有用性にも十分配慮しつつ、個人の権利利益の保護がしっかり図られるよう適切に対応してまいりたい、こう考えてございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 個人情報について、最後、もう一回、もう一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、個人情報保護法において、いわゆるプロファイリングといった、本人から得た情報から本人に関する行動、関心等の情報を分析する場合、事業者は、どのような取扱いが行われているかを本人が予測、想定できる程度に利用目的を特定しなければならないとされておりますが、提供元では個人データに該当しないものの提供先において個人データになることが想定される個人関連情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認も義務づけられております。

 

 そんな中、AI、ビッグデータ時代を迎え、個人情報の活用が一層多岐にわたる中、事業者が本人の権利利益との関係で説明責任を果たすと同時に、柔軟にデータが利活用できる環境整備も必要だと思います。

 

 そこで、本人の予測可能な範囲内での厳格な利活用と、本人がデータの利用を明確に許可しない場合の柔軟な活用など、個人データの利活用における本人の確認の在り方についてどのような整理がなされているのか、現状と今後についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 

 委員御言及がございました点、若干ちょっと重複いたしますが、整理申しますと、個人情報保護法におきまして、個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たって、利用目的をできる限り特定し、その利用目的をあらかじめ公表している場合を除きまして、速やかに、本人に通知したり、又は公表しなければならないという規定がございます。

 

 また、個人情報取扱事業者は、個人情報の目的外利用ですとか第三者提供等を行う際には、原則として、あらかじめ本人の同意を得るということが必要とされてございます。

 

 こうした本人への通知、公表、同意の取得に当たっては、個人情報取扱事業者の事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法によって行わなければならないということをガイドライン等で明記しておるところでございます。

 

 他方で、別途の法令に基づく場合ですとか、公衆衛生の向上又は児童の健全育成の推進のために必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合ですとか、学術研究機関等が学術研究目的で取り扱う必要がある場合等々におきましては、あらかじめ本人の同意を得ることなく、個人情報の目的外利用や第三者提供等を行うことができるというふうに定めてございます。

 

 私ども個人情報保護委員会といたしましては、こういうような規定の適切な運用等を通じまして、今後とも、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護というものを図ってまいりたい、こう考えてございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。適切な取組をよろしくお願いを申し上げます。

 

 デジタル社会におけるサイバー空間は、誰もが関わる共有の、公共の空間となってまいりました。現実の社会と同様に、安全の確保が重要であると思います。

 

 このような状況を受けて、警察庁にサイバー警察局とサイバー特別捜査隊が設置をされました。社会のデジタル化が進む中で、国民が安心して日常を送るために、このサイバー警察局には、サイバー犯罪等の捜査だけではなく、被害の未然防止や拡大防止に向けた取組も求められていると思います。

 

 サイバー空間においては、新たな技術やサービスを悪用した犯罪が次々と出てきます。これらを的確に見つけ出し、迅速に対処していくためには、高度な知見や技術を持った人材育成や確保、また最新のAI等を活用した分析や解析用の資機材の整備も必要かと思いますが、サイバー警察局の人員体制等の現状と今後についてお聞かせください。

 

○大橋政府参考人 お答え申し上げます。

 

 警察庁においては、高度化、複雑化するサイバー事案に的確かつ機動的に対処するため、人的、物的基盤の強化のための各種取組を推進しているところでございます。

 

 警察のサイバー人材につきましては、全国で約二千七百名がサイバー部門の業務に専従しており、高度な知見と豊富な経験を有する人材を多数擁しております。これらの職員につきましては、学校教養に加え、実践的な捜査演習や事案対処訓練、民間企業や学術研究機関への派遣等による人材の育成にも努めているところでございます。

 

 また、必要な資機材については、例えば、遠隔で解析を可能とするシステムの整備や、AIの活用等による不正プログラムの解析の高度化、効率化を推進するなど、先端技術の導入等についても取り組んでいるところでございます。

 

 引き続き、人的、物的基盤の強化を推進し、対処能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 世界的規模で発生している、ランサムウェアによる、コンピューターなどのデータ暗号化をして、元に戻すことと引換えに身の代金を要求する犯罪などは、サイバー犯罪集団あるいは国家が巧みに連携しているとも言われており、世界中の国々の捜査機関との情報交換や連携による対応も必要かと思いますが、その現状と今後についてもお聞かせ願えますでしょうか。

 

○大橋政府参考人 お答え申し上げます。

 

 議員御指摘のとおり、ランサムウェア事案を始めといたしましたサイバー事案の捜査に当たっては、外国捜査機関との連携が不可欠であるところ、昨年六月にユーロポールに派遣した海外連絡担当官やサイバー特別捜査隊が外国捜査機関等との各種捜査会議に参加するなどして、国際共同捜査の推進に向けた情報交換等に取り組んでいるところでございます。

 

 今後とも、これらの取組を通じた外国捜査機関等との連携を推進し、サイバー空間における一層の安全、安心の確保を図ってまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 続きまして、我が国のクラウドを始めとするデジタル分野の、そういった産業における国際競争力の強化について伺わせていただきます。

 

 我が国のデジタル化を進める上で、地方自治体で管理している住民の基本情報や国民の医療情報等に加え、民間の最先端の研究開発データなど、重要性や機密性の高いデータの安全で安心な保存と活用への需要は膨大になるものと思います。

 

 中長期的な展望に立って重要情報を保管し活用するクラウドシステムや、データを分析、整理するAIの開発など、情報通信産業の育成や強化は非常に重要な課題だと思っております。

 

 そこで、国民のデータを安全に保存し活用するための、我が国のクラウドを始めとするデジタル分野における国際競争力の強化について、当局の考え方、取組についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○門松政府参考人 お答えいたします。

 

 まず、クラウドでございます。

 

 現在、国民生活や経済活動の多くの場面で活用されております。また、企業の基幹システム、また社会インフラ等において、今後更にその活用が進む見込みと承知をしております。

 

 こうした状況の中で、特に重要なデータを扱うクラウドが、我が国が直接関与できない、そういった形で突如停止したり、重要な情報が不当にアクセスされたりということは、経済安全保障上の大きなリスクであるというふうに承知をしておりまして、こうした懸念を踏まえれば、クラウド事業者が日本企業であるかどうかにかかわらず、国内にクラウドを構築、運用する産業基盤、これを確保していくことが一番重要なのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 

 このため、政府としては、昨年末、経済安全保障推進法に基づきましてクラウドプログラムを特定重要物資として指定をしたところでございます。これを受けまして、データの暗号鍵管理を高度に行う技術などの、クラウドを安全に活用していく上で重要な技術開発の支援等を行うということにしております。

 

 なお、直近でございますが、言葉を使う仕事や検索サービス等を抜本的に変える可能性があるとされるAIツールが登場いたしまして、研究段階にあった量子コンピューターの実用化が進むなど、今後、AIや量子技術等の社会実装が進み、あらゆる製品、サービスのデジタル化が見込まれているというふうに認識をしているところでございます。

 

 そのため、経済産業省といたしましては、AIや量子等の次世代の情報処理技術の開発、また利用環境の整備支援等を通じまして、デジタル分野の競争力強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。国内のデータをしっかり守れるような、そういった環境整備、よろしくお願いを申し上げます。

 

 続きまして、データセンターの分散化と省エネ化について確認をさせていただきます。

 

 あらゆるものがネットにつながるIoTや、人工知能、AIが別のAIとつながり情報を自動的に処理する進化したデジタル社会、そういったことも想定される中で、そのデータの量というのは爆発的に増加し、これに伴ってデータセンターを中心に電力消費量も急拡大することが見込まれております。

 

 二〇一〇年、二ゼタバイトだった情報量が、十五年後の二五年には九十倍の百七十五ゼタバイトになる、こんなことも伺っております。また、科学技術振興機構の推計で、国内のデータセンターの消費電力は、三〇年には一八年比で六倍の九百億キロワットアワーに達すると伺っております。

 

 ここで、データセンターは、大量の電力を消費することもあり、電力を確保しやすいインフラが必要になる中で、地震等の災害に強い情報通信網の構築に向けて、データセンターの分散化を進めるためには、その電力をしっかり確保する必要があると思いますが、その点についての考え方、また、データセンターそのものも省エネ化する、このことも大変重要かと思いますけれども、その現状と今後について、併せてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○門松政府参考人 お答え申し上げます。

 

 まさに先生御指摘のとおりでございまして、デジタル化の進展に伴って、データの蓄積、処理を行うデータセンターの役割、これは今後ますます重要性が増していくというふうに認識をしておりますが、その一方で、データセンターが電力多消費の産業ではないかということでございまして、基本的には、再生可能エネルギーの一層の活用、また、データセンター自体の省エネ化、これを両輪で進めていく必要があるというふうに承知をしております。

 

 まず、経済産業省においては、総務省さんともしっかり連携しながら、まず、再生可能エネルギー等の活用に加えまして、広域災害時の共倒れを防ぐためのレジリエンスの強化、また、自動運転等の実装によって、各地の現場の機器から生まれるデータを遅滞なく迅速に集めて、さらに、応答するための通信ネットワークの効率化等の観点から、データセンターの分散立地を進めるということをしております。

 

 また、データセンターそのものの消費電力、この削減の観点からは、電気配線を光配線化することで多量のデータを高速かつ低消費電力で処理する光電融合といった技術などの将来技術についても研究開発を進めてまいりたいと考えております。

 

 引き続き、関係府省とも連携しつつ取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 最後に、重要インフラへのサイバー攻撃への対応について伺わせていただきます。

 

 近年、重要インフラ、特に電力システムにおけるサイバー攻撃が増えていると伺っています。重要インフラは、これまで、制御システム等のインターネット接続がないことから、サイバー攻撃を受けるリスクは低いとされていました。しかし、重要インフラなどに万が一のことが起こった場合、国民の日常に多大な被害を及ぼすことから、その攻撃を分析し、リスクに対して適切に対処する必要があると思います。

 

 そこで、重要インフラへのサイバー攻撃対策について現在どのような取組がなされているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○大橋政府参考人 お答え申し上げます。

 

 警察においては、重要インフラに対するものを含め、サイバー攻撃に関しまして実態解明や被害の未然防止等の総合的な対策を推進しておるところでございます。

 

 具体的には、サイバー攻撃事案を認知した場合には、被害状況の把握、被害拡大の防止、証拠保全等の初動対応を行った上で、違法行為に対する捜査を進め、サイバー攻撃事案の実態解明を図っております。

 

 また、警察では、各都道府県警察と重要インフラ事業者等とで構成するサイバーテロ対策協議会を全ての都道府県に設置し、サイバー攻撃の脅威に関する情報共有のほか、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練等を行っております。

 

 今後も、引き続き、こうした取組により重要インフラ等へのサイバー攻撃対策を推進してまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 誰一人取り残されない、全ての人がよりよい明日を創造できる、人が中心の、人が主役のデジタル社会の構築に向けた積極的な取組を期待し、質問を終わらせていただきます。

 

 大変にありがとうございました。