○古賀委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。
それでは、早速でございますけれども、気候変動適応法及び環境再生保全機構法の一部を改正する法案に関して質問をさせていただきます。
現在、気候変動に伴い、極端に高い気温の日が増加し、熱中症による死亡者数は年間千人を超える年が続いております。今後、地球の温暖化は更に進み、極端な高温の発生リスクも増加することが予想され、まさに気候変動への適応において熱中症対策は大変に重要な課題であると思います。
本法案は、こうした状況を踏まえ、今後の極端な高温の頻発を見据え、熱中症への対策を強化しようとするものでございます。
それでは、早速、まず初めに、熱中症から地域住民の命を守るための取組につきまして質問をさせていただきます。
熱中症は、適切な予防や対処が実施されれば死亡や重症化を防ぐことができます。ここで、熱中症は人の命に関わることであることから、その対策において地域差をなくすことが重要であると思います。例えば、熱中症予防に積極的に取り組んでいる自治体の取組事例を他の自治体にも伝えることも必要かと思います。
そこで、各自治体において適切に熱中症対策を進めていくために、環境省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
○柳本大臣政務官 熱中症対策につきましては、直接住民に声がけをするなどの働きかけが極めて重要でありまして、地域の実情を把握し、住民に身近な地方公共団体が自主的、主体的に取り組むことが効果的であるというふうに考えております。
環境省が地方公共団体を対象に実施している地域における熱中症対策のモデル事業では、埼玉県の熊谷市におきまして公共施設を涼みどころとして提供する例や、あるいは、大阪府吹田市におきまして熱中症に関する相談会や高齢者への声かけ活動を行っている例など、先進的な取組があり、これらを事例集として取りまとめて公表することで、取組の横展開を図っております。
引き続き優良事例の収集、発信をすることによりまして、地方公共団体が自主的、主体的に熱中症対策に取り組めるよう、働きかけを行ってまいります。
○輿水委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、高齢者の熱中症に対する予防への意識を醸成するための取組について伺います。
熱中症を予防するためには、脱水と体温の上昇を抑えることが基本であると言われております。ここで、熱中症で亡くなる方の多くを占めている熱中症弱者と呼ばれる高齢者の皆様に、熱中症予防のための行動を意識していただくことも重要であると思います。高齢者の皆様は暑さや喉の渇きに対して敏感でなくなるケースもあり、消防庁の調査によりますと、熱中症による救急搬送者の約五割が高齢者となっております。高齢者の熱中症を予防していくためには、国、都道府県及び市区町村の介護や地域保健部門の関係者が一体となって対策を的確に進める必要があります。
そこで、高齢者の皆様への効果的な熱中症予防を進めるために厚生労働省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者に対する熱中症対策を強化していく上で、高齢者御自身や地域の方々に熱中症予防についての正確な理解を広げていくことが重要だと考えております。
こうした観点から、高齢者のための熱中症対策に関する分かりやすいリーフレットを関係省庁と連携して作成しております。自治体とも連携いたしまして、このリーフレットを高齢者に関わる事業者に送付したりして、熱中症予防の普及啓発、注意喚起を行ってきているところでございます。
引き続き、効果的な熱中症予防の普及啓発、注意喚起を通じまして、地域の中の支え合いの取組を関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
水分の補給とか、そういった観点で様々な注意喚起があると思いますけれども、熱中症というのは本当に死亡リスクがあるんだ、そういった危機的な意識も持っていただくような取組も進めていただければと思います。
続きまして、高齢者世帯等のエアコンの点検や整備を促す取組について伺います。
いざ高温になったとき、エアコンを入れても動かないとか、エアコンのフィルターが汚れていて部屋が冷えないとか、エアコンのトラブルが命に及ぶ危険性があります。熱中症による救急搬送における発生場所の七割が屋内となっております。熱中症の予防のためには、クーリングシェルターの整備に併せて、外出が難しい高齢者世帯等のエアコンの点検や整備の推進も必要であると思います。また、脱炭素化の観点も組み入れたエアコンのクリーニングなどの普及促進等も重要と考えます。
そこで、経産省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
○門松政府参考人 お答えいたします。
エアコンの設置や修理は、例年、暑くなってから急激に増える傾向にございますが、熱中症対策の観点からは事前の点検が重要というふうに認識をしております。
特に、高齢者の皆様は暑さを感じにくくなるといった話もございます。特に熱中症に注意する必要があるところでございますが、今年も環境省さんとともに、シーズン前のエアコン試運転を呼びかけていくなど、政府としてもしっかり広報を行ってまいりたいと思っております。
また、先生御指摘のとおり、脱炭素化の観点でも、エアコンのフィルターの掃除は省エネにつながるものでございまして、これは個人でも手軽にできる行動でございます。経済産業省としても、ホームページ等で周知を行っているところでございますが、今後も、夏季の省エネ広報を行う中で、消費者向け広報動画も活用しながら、高齢者も含めて分かりやすく周知をしてまいります。
いずれにいたしましても、経済産業省としては、熱中症対策実行計画の策定、実施や夏季の省エネ広報などをしっかり行いますが、特に熱中症対策については、西村環境大臣を中心として取り組む体制、この中で経済産業省としても各府省としっかり連携して対応を行ってまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
続きまして、電気料金が高騰する中でエアコンの利用を控える国民への対応について伺います。
エアコンの利用を、電気料金が高いということで控えたりする人も少なくはないと思います。特に、熱中症弱者と呼ばれる高齢者の皆様は、節約への意識が高い方も多いのではないかと思います。
そこで、熱中症特別警戒情報が発令されたときにちゅうちょなくエアコンを活用できる環境の整備も必要かと思いますが、電気代の高騰への対応も含めてどのように対処していくのか、当局のお考えをお聞かせください。
○柳本大臣政務官 熱中症から自らの命を守るためにはエアコンの使用が有効であり、エアコンを使用していただきたいと考えております。
その前提で、国民の皆様方には、節電、節約につながるエアコンの適切な利用の取組として、クールビズやクールシェア等の工夫に可能な限り取り組んでいただくことが重要であります。
環境省といたしましては、国民の皆様に何よりも健康、命を守ることを最優先に考えて行動していただくことが重要であると考えておりまして、今後とも関係省庁と連携して、積極的な情報発信に努めてまいります。
○輿水委員 よろしくお願いいたします。
学校における子供の熱中症を防ぐための取組も大変重要であると思います。
公立の学校施設においては、地方公共団体からの計画も踏まえ、公立小中学校等の普通教室における空調施設の整備が進められていると思います。ここで、公立小中学校等の普通教室への空調設置率はどのようになっているのか、まずお聞かせください。続きまして、あわせて、空調施設を活用するための電気代の手当ては十分なのかどうなのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。
さらに、学校での取組と同時に、子供たちの通学時の熱中症予防対策も必要と考えます。特に、熱中症特別警戒情報が発令された場合など、どのように対応していくのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
初めに、空調設置につきまして、児童生徒の学習、生活の場である公立小中学校等の普通教室への空調の設置は、委員御指摘のとおり、熱中症を予防する観点から重要な取組であると認識しております。
このため、文部科学省におきましては、公立小中学校等の施設のうち、児童生徒が長い時間を過ごす教室への空調設置を優先して支援してきております。令和四年九月一日現在時点の文部科学省の調査では、公立小中学校等の普通教室における空調設備の全国の設置率は九五・七%となっております。
次に、空調施設の電気代につきましては、公立学校における光熱費等の管理運営に係る一定の経費について地方交付税による措置がなされております。さらに、今般の物価高騰を受けまして、学校を含む公共施設の光熱費に関しまして令和五年度の地方交付税が増額されるなど、学校施設のエネルギー価格の高騰分にも対策が講じられております。
文部科学省としましては、今後とも、関係省庁や各地方公共団体と連携しながら、子供の熱中症を防ぐため、安全、安心な教育環境の整備等を図ってまいります。
○里見政府参考人 通学時の熱中症予防対策についてお答えをいたします。
近年、気候変動等の影響がある中で、子供たちの健康と安全を守るために、学校で活動している時間に加えて、御指摘のとおり、登下校中についても適切な熱中症対策を行うことが重要となっております。
このため、文部科学省におきましては、各学校が作成することとなっております危機管理マニュアルに、熱中症警戒アラートの活用や、登下校中の涼しい服装あるいは帽子の着用、そして適切な水分補給等、熱中症の防止に係る記載を促すとともに、児童生徒が熱中症に対する適切な知識、対応を身につけられる指導を行うことを促してまいりました。
また、令和三年五月に、環境省と共同で、教育委員会等の学校設置者向けに、学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを作成をいたしまして、各地域の特性等を踏まえた熱中症対策ガイドラインの策定、改定に活用するよう、累次にわたって促しているところでございます。
現在御審議をいただいております熱中症特別警戒情報につきましても、制度が創設された際には、現行の熱中症警戒アラートの活用状況なども踏まえながら、学校現場や地域の実情に合わせた適切な対応が取れるよう、環境省等を始めとする関係機関と連携をいたしまして、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
最後に、西村大臣にお伺いいたします。
いよいよ、この法案を受けて、環境省が中心となって省庁横断的な取組で熱中症対策を効果的に進める必要、また、果たす役割というのが大きいかなと思いますので、熱中症対策に向けての西村環境大臣の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。
○西村(明)国務大臣 熱中症対策は非常に多岐の分野にまたがっておりますので、輿水委員御指摘のとおり、多くの府省庁、これが一体となって連携して取り組むことが必要であろうというふうに考えております。
先ほどから議論に出ておりましたエアコンの利用に関する高齢者への周知、こうしたことなどは引き続き重要な課題であるというふうに認識しております。政府といたしましては、改正法案の成立後に、夏本番を迎える前に、こうした課題に対応できますように、閣議決定計画である熱中症対策実行計画を取りまとめる予定でございます。
また、取組の効果的な推進に当たりまして、私が議長を務めさせていただきます熱中症対策推進会議、これを中心に、まさに政府一体となって進めてまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
以上で質問を終わります。