○古賀委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず心より感謝を申し上げます。
それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきたいと思います。
初めに、COP27からG7への日本発の環境政策の推進について伺います。
地球温暖化対策について議論する第二十七回の国連気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP27が十月六日からエジプトで開催をされます。気候変動の影響が深刻化する中で、課題解決に向けて世界がどう連携できるのか、大変注目をされているところであると思います。
CO2の排出量を削減、いわゆる緩和策の推進において、一九九七年のCOP3で採択された京都議定書で二〇二〇年までの温室効果ガス削減の目標が定められました。そして、二〇一五年のCOP21で、全ての国が参加する新たな枠組み、パリ協定を採択し、産業革命前からの気温上昇を二度未満に抑える、そして一・五度に抑える努力目標を設定されたところでございます。
以降、目標達成に向けた取組の進捗確認や必要に応じた対策の見直しなどが行われ、昨年英国で開かれたCOP26で採決をしたグラスゴー気候合意では、気温の上昇を一・五度以内に抑えることを目指すという目標を定め、行動を加速化させることで合意されました。そして、今回のCOP27でこの議論の深掘りができるかどうか、そういった点が大変注目をされていることと思います。
地球温暖化対策の推進は国際社会において大変重要な課題であり、明年は日本でG7の首脳会議が予定をされています。そこで、COP27からG7という機会を捉えて、日本が主導して世界の温室効果ガスの排出削減に大いに貢献するべきと考えますが、西村大臣の御所見を伺いたいと思います。
○西村(明)国務大臣 世界の平均気温、この上昇を一・五度以内に抑えるという一・五度目標、この達成のためには、二国間クレジット制度、いわゆるJCMを含む市場メカニズム、いわゆるパリ協定六条の仕組みも活用して、世界全体での脱炭素化を促進することが重要でございます。
専門家の試算では、パリ協定六条の適切な実施によって、二〇三〇年までに世界全体で年間約九十億トンCO2の削減につながるほか、各国の経済成長にも貢献して、二〇三〇年時点で炭素市場は約五十兆円規模になるというふうに見込まれております。
来月のCOP27におきましては、我が国が主導して、パリ協定六条の実施パートナーシップ、これを立ち上げる予定でございます。六条実施に関する各国の理解や体制構築を促進して、JCMを含む炭素市場の拡大を図ってまいります。
引き続き、JCMプロジェクト形成を推進することで、世界の脱炭素化に貢献をするとともに、我が国の優れた脱炭素技術の海外展開を進めてまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございました。COP26で日本がルール策定の仲介役を果たした、ただいまございました温室効果ガスの排出削減などの取引をするいわゆる炭素クレジット市場、二国間クレジット制度の早期実現に向けて、まずはCOP27で積極的な発言を期待させていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、気候変動への適応策の推進について伺います。
近年、世界各地で猛暑や豪雨被害が頻発しており、CO2の排出削減、いわゆる緩和策に加えて、気候の変化に対応して生活や活動への影響や被害を最小限に抑える適応策も重要である、このように考えます。そこで、環境省ではこの適応策をどのように進めているのか、お伺いしたいと思います。
○松澤政府参考人 お答え申し上げます。
気候変動によりまして、今後、猛暑や大雨、強い台風へのリスクが更に高まることが予測されております。最新の科学的知見に基づき気候変動への適応を推進していくということは、国の内外で喫緊の課題でございます。
政府は、昨年十月に気候変動適応法に基づく我が国の気候変動適応計画を改定いたしました。これによって、防災、健康などの各分野で適応策を拡充いたしました。さらに、進捗状況を的確に把握するために合計六十六の重要業績指標というのを設定して、政府を挙げて関係省庁連携で対応しております。
環境省といたしましては、熱中症対策の推進のほか、この気候変動適応法に基づき、気候変動の影響に関する科学的知見の提供、地方自治体や民間企業の取組支援、さらに国際的には途上国の適応能力の向上支援、こういったことを通じまして国の内外での気候変動適応の取組を着実に推進してまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございました。着実に推進をしていただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。
それでは、続きまして、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動につきまして質問させていただきます。
二〇五〇年のカーボンニュートラル及び二〇三〇年の削減目標の実現に向けて、衣食住やライフスタイルの分野での大幅なCO2削減が求められていると思います。そこで、十月二十五日、先日立ち上げられた脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動及び新しい国民運動官民連携協議会、これが脱炭素に向けて国民の意識改革や行動変容をどのように実現しようとしているのか、西村大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西村(明)国務大臣 委員御指摘いただきましたように、カーボンニュートラル実現に向けた国民のライフスタイル変革を強力に後押しするために、十月二十五日に新しい国民運動と官民連携協議会の発足式を開催いたしました。
発足式では将来の絵姿というものを出させていただきまして、脱炭素は決して我慢ではない、そして、環境によい製品、サービスを選ぶことで家計が浮いて、自由に使える時間が生まれて、さらにCO2の削減にもつながる新しい豊かな暮らしを私の方から提案させていただきました。
また、個別具体的なアクションの第一弾として、ファッション、住まい、デジタルワーク、こういったものを出させていただきました。ファッションはオフィスの服装改革やサステーナブルファッション、住まいに関しては住宅の断熱リフォーム促進キャンペーン、デジタルワークに関しては国立公園におけるワーケーション、インバウンドに対応したデジタル化といったものでございます。こうした三つのテーマを行ったところであります。
こうした取組を強力に推進するとともに、COP27及び来年のG7におきましても、脱炭素の製品、サービスを組み合わせたライフスタイルの提案といったものを行ってまいりたいと考えています。
○輿水委員 どうもありがとうございました。日本は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出量を二〇一三年比で四六%削減することを表明しているところでございます。期限まで残りあと八年と迫っている中で、日本の温室効果ガス排出源の六割以上がまさにございました衣食住の分野であります。これは、国や企業の努力に加えて国民一人一人に意識してもらうことが大変重要であると思います。
そんな中で、環境に配慮した行動をポイント化することで、一人一人が環境問題を自分事として環境に配慮したライフスタイルへの転換を加速させようとするグリーンライフポイント制度、これは本当に大事な制度である、私はこのように思うわけでございますが、日本全国で幅広くこのグリーンライフポイント制度の事業を進めていく、このために、現在の実施状況と今後の展開について西村大臣にお伺いをいたします。
○西村(明)国務大臣 この事業に関しましては、公明党の皆様からの声を受けまして、消費者による環境配慮製品の購入や消費行動にインセンティブを付与する取組を支援するものでございます。まさに十月二十五日に立ち上げた新しい国民運動でも大きな柱に位置づけておりまして、環境省の重要施策の一つでございます。
趣旨に賛同いただいた事業者や自治体等の取組の中から、これまで三十五事業を採択いたしました。更なる取組の拡充に向けて、引き続き、企業、自治体等への周知、働きかけを精力的に行ってまいります。また、国民運動と同時に立ち上げた官民連携協議会を通じて本事業の採択事業者の成果や優良事例といったものを共有して、横展開を促してまいります。
脱炭素につながる豊かな暮らしといったものをつくるために、国民の行動変容、これは本当に必要不可欠でございます。こうした事業を通じて引き続き理解と協力を求めてまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。まさに、環境問題、関心はあったんだけれども、意識はするんだけれどもなかなか行動につなげられない、こういった方々も多かったかなと。こんな中で、ポイント還元など目に見える形で特典が受けられることによって環境に配慮した行動を取れるようになる、こんなことも期待されるということで、是非、グリーンライフポイントの積極的な推進、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、続きまして、国立・国定公園満喫プロジェクトの成果と今後の展望について伺います。
国立公園等において自然環境の保全や自然生態系の再生を図りつつ、全国の国立公園等において多くの人々が日本のすばらしい自然に触れる機会を生み出すために、様々な環境の整備を進めることは大変有意義なことであると思います。そこで、この国立・国定公園満喫プロジェクトにつきまして、三点まとめて伺わせていただきたいと思います。
まず一点目、国立公園等をこのプロジェクトでは世界水準のナショナルパークとしてブランド化していこう、このように取り組まれるということで伺っておりますが、この現状と今後の展望についてまず確認をさせてください。
二つ目といたしまして、地方公共団体、地元事業者、保護団体等としっかり連携をしながらの上で、国立公園等における利用者負担の仕組みづくり、これも進めようということで伺っておりますが、この現状と今後について。
そして、最後、三つ目なんですけれども、廃屋の撤去とか無電柱化あるいは建物の外観の修景等、いわゆる引き算の景観改善を進める、こういったことも打ち出されておるわけでございますが、この現状と今後の展望について。
以上三点についてお聞かせ願えますでしょうか。
○奥田政府参考人 お答えいたします。
まず一点目の、国立公園満喫プロジェクトの現状と成果についてお答えをしたいと思います。
まず、こちらの方は、このプロジェクトそのものは、国立公園のブランド力を高めて上質なツーリズムの実現を目指すということで、様々な取組を実施してまいりました。
特に、先行して取組を実施したのが八国立公園でございます。その中で、プロモーション、例えば施設の改修、それからWiFiの整備、多言語化等、様々な取組を行って、これはかなり進展をしたというふうに考えております。具体的には、例えば訪日外国人の数、インバウンドは、国立公園の利用者数がプロジェクト開始前が二〇一五年で四百九十万人、これが二〇一九年には六百六十七万人まで増加をしております。
また、昨年度からは、この八公園に限らず、この取組を全三十四の国立公園に水平展開して、また、国定公園でも活用していただくような方向に進めているところでございます。ポストコロナのインバウンド再開を見据えて、こういった活動、自然体験活動ですとか魅力的な滞在環境の整備、地域活性化につなげていただくことを期待しつつ、更に取組を進めていきたいと考えております。
また、二つ目の御質問ですけれども、国立公園における利用者負担の仕組みについての御質問でございました。
この利用者負担の仕組みづくりについても鋭意進めているところでございまして、今申し上げた八公園を中心に、地方公共団体若しくは地元の事業者、自然保護団体等と連携して、例えば入域料や協力金、それから施設利用料の収受、ツアー料金への上乗せの一部還元等、様々な手段で取組を実施してきているところでございます。
こうした取組は、新たな利用者負担の様々な仕組みづくりというのは、全国で合計、もう既に二十七件行われているところでございます。
引き続き、この取組も、利用者負担によって保全の仕組みづくりに取り組んでまいりたいと考えております。
そして、最後の三点目でございますけれども、廃屋撤去等の景観改善の取組でございます。
これに関しましては、利用拠点で民間事業者等と連携をさせていただいて、地域一体となった上質な滞在環境の創出のための事業というふうに考えております。
令和元年度から、民間事業者等が国立公園内で実施する廃屋の撤去ですとか無電柱化若しくは通景伐採、景色を見るための伐採ですね、それから建物外観の修景等の費用を補助する事業を実施してきております。この活用で、令和三年度までに、廃屋撤去が二十一か所、これを含めて約百か所以上で取組が進められているというのが現状でございます。
引き続き、官民が連携して、国立公園の利用拠点における面的な景観の改善、魅力向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。まさに、国立・国定公園等の保全と活用の好循環をしっかりと生み出していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
最後に、アスベスト対策について伺います。
アスベストは吸い込むと健康被害があるということで、二〇〇六年九月にアスベストが含まれる製品の使用などが禁止されましたが、それ以前の建物にはアスベストが含まれる建材が使用されているおそれがある、そのため、解体などに伴うアスベストの飛散防止が大きな課題であると思います。アスベストが使われている建物はまだ数多く残されており、二〇二八年頃にはそうした建物の解体がピークを迎えると言われているところでございます。
そこで、アスベスト対策について三点伺います。
まず一点目が、二〇二一年の改正大気汚染防止法により建物の解体などにおける飛散防止対策が強化されたと伺っておりますが、何がどのように変わったのか。
二点目、二〇二二年四月から、一定規模以上の建物の解体やリフォームなどを行う際、アスベストが含まれる建材の有無を事前に調査した結果を地方公共団体などに報告することが義務づけられたところでございますが、適切な実施に向けての取組状況について伺います。
そして、最後、三点目でございますけれども、災害発生時などには建物等の倒壊に伴い多くの建物が解体をされます。この解体及び解体物の運搬、処理において、アスベストの飛散を防ぐためにどのような対策が取られるのか。
以上三点についてお聞かせください。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大気汚染防止法の改正のポイントでございます。主に四点ございます。
まず一点目に、石綿が使われました建築物の解体工事につきまして、規制対象を従来から広げまして、石綿の飛散が少ない石綿含有の成形板など、石綿を含む全ての建材を規制対象といたしました。
二点目、解体工事等の前に石綿の有無を調査する方法を明確化いたしまして、併せてその結果を都道府県知事等に報告することを義務づけいたしました。
三点目、石綿を隔離しないなどの不適切な石綿の除去作業については直接罰を設けました。
四点目、石綿の除去作業につきまして記録保存を求めるとともに、発注者への結果報告を義務づけいたしました。
これらの改正によりまして不適切な調査あるいは除去を防止しまして、飛散防止の徹底を図ってまいります。
続きまして、二点目、地方公共団体等への報告の実施状況でございます。
今御説明申し上げたとおり、解体工事等の前の石綿の有無の調査につきましては、その調査結果を都道府県等に報告することが本年四月より義務づけられたところでございます。
環境省におきましては、この報告事務の効率化を目的といたしまして、厚生労働省と連携いたしまして、電子情報による報告が可能な石綿事前調査結果報告システム、これを整備いたしまして、運用を開始したところでございます。
具体的な施行状況は来年の集計となりますけれども、このシステムによりまして着実に報告が行われることを期待いたしております。
○小林副大臣 お答えいたします。
災害時には、建築物等の倒壊などに伴う石綿の露出や飛散が懸念をされます。被災後の応急措置や建築物等の解体及び解体物の運搬、処理において、ビニールシートで囲うなどの養生や散水等の飛散防止措置を実施する必要があります。
環境省では、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルを作成し、地方公共団体等における飛散防止対策の徹底を図っております。
また、今般の大気汚染防止法の改正によりまして、建築物等への石綿の使用状況の把握に関する規定、これが設けられたことを踏まえまして、本マニュアルの改定を行う予定といたしております。
近年、地震や豪雨などの災害が頻発しておりますことから、改正法の適切な運用、本マニュアルの活用によりまして、引き続き、地方公共団体とも連携をしながら、災害時の石綿飛散防止対策に万全を期してまいります。
○輿水委員 ありがとうございました。
以上で終わります。