○石田委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。
それでは、早速でございますけれども、第十二次地方分権一括法案並びに関連事項につきまして質問をさせていただきます。
初めに、医療等の届出に係る都道府県経由の事務の廃止について確認をさせていただきたいと思います。
今まで、医師、歯科医師、また薬剤師は、二年ごとに、住所、氏名また従事先等を書類で住所地の都道府県を通して国に届けなければならなかったものが、今回の改正で、オンラインで直接国に提出できるようになります。平成三十年の届出は、医師が約三十三万人、歯科医師が約十万人、薬剤師が約三十一万人となっており、これらの届出が紙ベースからペーパーレスのオンラインに変わることにより、医師等や都道府県の事務負担は大幅に軽減されるものと期待をしているところでございます。
ここで、国に直接オンラインで届けられるのであれば、国の再登録業務においても、内容のチェックから再登録について自動化を進めることも有意義かと思いますが、この点について見解をお聞かせください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
今般の、医師法等におきまして二年ごとに届出を行う仕組みにつきまして、現在紙で行っているところでございますが、この改正がなされまして届出がオンライン化されました後には、先生御指摘のとおり自動的に、例えば、記入漏れのチェックですとか、数値の明らかな誤り、こういったものがはじかれるような仕組みということが可能なのではないかというふうに考えておりまして、そのような仕様にすることを検討しているところでございます。
引き続き、届出業務が医師側、都道府県側双方にとって効率的になるように検討してまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
入力のときから最後まできちっと、トータルで、一貫した、そういったシステムにしていただければ、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、ここで、地元によい医師や看護師がいて、よい病院があれば、誰もが安心して暮らせる地域ではないか、少子高齢化社会にあって、どこに住んでいても質の高い医療が提供される環境を整えることは大変に重要なことであると思います。
一方で、我が国においては、医師や看護師の偏在の進行や全国三百四十四の二次医療圏にある基幹病院の治療能力の格差も広がりつつあるとの声を聞いているところでございます。
そこで、まず、都道府県別の医師の偏在について、また、日本における治療能力も含めた医療の格差について、当局の見解をお聞かせ願えますでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
まず、お尋ねの医師の偏在状況についてでございます。
医師の偏在指標、すなわち、地域の人口構造などの需要側の状況と、あとは医師の性別や年齢分布などの供給側の状況、こういったことを加味した医師偏在指標というものを作っております。
これを見ますと、最も高い県が東京都、最も低い県は新潟県というふうになっているところでございます。
こういった偏在への取組といたしまして、平成三十年に成立をいたしました改正医療法に基づきまして、まず、各都道府県におきまして医師確保計画を策定していただくことにしております。これに基づきまして、都道府県の中で地域医療対策協議会を設けていただき、よく協議をしていただいた上で取組を進めていただくこととしております。
具体的には、医師不足の地域で一定期間勤務することを約束して入学をしていただく地域枠の医学生、こういった者に対する修学資金の貸与、こういった取組を行っておりまして、これは国としても、地域医療介護総合確保基金から支援を行っているところでございます。
また、それ以外にも、改正医療法に基づいて地域医療対策協議会ができたわけですけれども、そこで、地域枠の医師の派遣、医師の少数区域への派遣、こういったことも協議をしていただくこととしております。
加えまして、今度は医師の養成課程のところでの偏在対策としては、臨床研修においての定員の設定、また専門研修におけます都道府県、診療科ごとに将来必要な医師数に基づくシーリング、こういったことを行っております。
引き続き、自治体とよくお話をしていきながら、具体的な取組を続けてまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
医師の数と、また育成ということで、地域で安心して医療が受けられる環境を進めていただければと思います。
ここで、地域の医療格差の解消の一つとして、AIホスピタルということについて伺いたいと思います。
例えば、二人に一人が罹患すると言われているがんに対して、初期の正確な診断が重要であると同時に、手術や放射線治療、あるいは化学療法など、それぞれの専門性があるため、専門家がたくさん集まっている拠点病院が必要になると思います。
また、心筋梗塞や脳梗塞などの緊急的な医療が必要な疾病についても、定期的な健診の中で的確に病根を把握し、事前にカテーテル等による措置を施すことにより発症を防ぐこともできるかと思います。
国民は全国一律の保険料と治療費を払っているのに、現実には受けられる治療に差があるのでは不公平ではないのか。
そこで注目されているのが、AIホスピタルでございます。二〇一八年度の内閣府戦略的イノベーション創造プログラム、SIPの第二期において、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現に向けた課題として、AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム研究が採択されました。
そこで、伺います。
まず、AIホスピタルの研究の目的はどこにあるのか、また、現在、社会実装に向けてどのような取組が進められているのか、お伺いをいたします。
○高原政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府では、SIP第二期の課題の一つとして、AIホスピタルによる高度診断・治療システムについて、厚生労働省等、関係省庁と連携して取り組んでいます。
AIホスピタルでは、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現に向けて、AI、IoT技術を用いて大量の医療情報を有効活用し、高度で先進的かつ最適化された医療サービスの提供や、医師、看護師等の医療従事者の負担軽減や、医療の効率化にも資することなどを目指しており、AIホスピタルの社会実装により、患者の皆様の満足度を高め、安全、安心な医療を提供することが期待できると考えています。
本課題における取組として、セキュリティーの高い医療情報データベースの構築、音声入力によるカルテの作成、医療従事者の負担を軽減するAI機器の開発、さらに、医療分野におけるAIの開発、利活用を促進するためのプラットフォームの構築などを進めており、二〇二二年度を目途に、医療機関にAIやIoTシステムを導入したモデル病院の運用開始に向けて取組を進めているところであります。
○輿水委員 ありがとうございます。
ここで、AIホスピタルの社会実装に向けて、医療AIプラットフォーム技術研究組合あるいは日本医師会AIホスピタル推進センター、そういった形で今組織がつくられる中で進められていると思いますけれども、それぞれどのような役割を果たしていくのかについてもお聞かせ願えますでしょうか。
○高原政府参考人 お答え申し上げます。
AIホスピタルの社会実装に向けて、AIを用いた画像診断などの新たな技術が医療現場で広く利用されて定着するためにも、現場にとって使いやすいプラットフォームを構築することが重要であると考えております。
このため、AIホスピタルにおける研究開発体制と役割ですが、医療AIプラットフォーム技術研究組合は、医療AIサービスを多くの医療機関等に廉価かつ公平に提供するための基盤や、新たな技術開発のためのデータを提供する開発基盤など、基盤技術の開発を担います。
一方で、日本医師会に設置されたAIホスピタル推進センターは、医療AIサービスを提供する事業者の認定などのルール整備を担うことにより、技術開発から社会実装に向けたルール整備など、一気通貫に取り組んでまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
それでは、現在、医療AIプラットフォームの試行運用も進められていると伺っておりますが、その状況についてお聞かせ願えればと思います。そして、そこで、医療AIプラットフォームを医療の現場で活用するに当たって、現在見えている課題と対策等についてもお聞かせ願えますでしょうか。
○高原政府参考人 お答え申し上げます。
AIホスピタルの社会実装に向けて、医療AIを搭載するためのプラットフォームや、プラットフォーム事業に対するルール整備の検討を進めるために、医療機関における試行運用を実施しているところであります。昨年十二月から、日本医師会AIホスピタル推進センターにより、試行運用に参加する医師の募集が行われておると承知しております。試行運用を通じた課題の抽出や、更なる研究開発について取り組まれているものと認識しています。
内閣府としては、見出された課題への対応を含め、AIホスピタルの社会実装を通じ、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現や地域の医療格差の解消に資するよう、関係省庁とも連携して取り組んでまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
医療格差の解消に向けて、AIホスピタルの一日も早い社会実装を期待をしたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
土地改良法に基づく市町村応急工事計画に係る手続の見直しについて伺います。
現在、市町村が土地改良法に基づき災害復旧工事を実施する場合は議会の議決が必要となっていますが、今回の改正で、応急工事計画に係る議会の議決が不要となります。この改正により、農業者の営農再開や、農民の安全のための災害復旧工事が迅速に進められるようになります。
当然、予算措置につきましては市町村に適切に措置がされるものと認識をしているところでございますが、ここで、年々激甚化、頻発化する自然災害に対して、その復旧を推進する計画を立てる土木技術者や技能者が不足しているとの声を聞きます。また、地方においては、道路や橋や下水道などのインフラの老朽化も大きな課題となっており、この土木技術者や技能者の仕事は増えることが予想されています。
ここで、土木技術者、技能者について、今、離職率が非常に高く、また団塊の世代のベテランの皆様が大量に引退する、そういった時期に来ている、さらに、若手が入職してこないことなど、危機的な状況であるとも伺っております。
そこで、地域の防災・減災、復旧復興を支える土木技術者及び技能者の不足について、当局の認識と今後の確保策についてお聞かせ願えますでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
建設業は、議員御指摘のとおり、地域の守り手としての重要性というのはますます高まってございますが、ほかの産業と比べますと高齢化が進んでおり、近い将来には高齢者の大量離職によります担い手の減少が見込まれております。将来の建設業を支える担い手の確保は待ったなしの課題と言えると考えてございます。
国交省といたしましては、建設業が、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる、新三Kと呼んでおりますけれども、魅力的な産業となりますように、業界等と連携しながら担い手確保に向けた取組を進めてございます。
具体的には、若手入職を促進する観点から、建設現場におきます週休二日の促進、働き方改革を促進するとともに、公共工事の設計労務単価の十年連続での引上げ、建設キャリアアップシステムの普及などによります担い手の処遇改善に取り組んでいるところでございます。
さらに、昨年十一月、有識者から成る検討会を設置しておりまして、優秀な人材の入職促進、生産性向上の観点から、建設業法に基づきます技術検定の受検資格の見直し、最近のICTの活用によります現場技術者の配置要件の合理化などの検討を行っておりまして、今月中を目途にいたしまして今後の検討方針を取りまとめまして、必要な調整を経た上で、措置できるものから対応していきたいと考えてございます。
○輿水委員 どうもありがとうございます。全力で推進をしていただければと思います。
そこで、近年、激甚化する豪雨災害において、山地災害というのが多発しております。早急に山林を適切に整備し、住民の安全と安心を向上させることも必要だと思います。
そこで、具体的に必要なことは、山林の地籍調査であると思います。この地籍調査は、今までは山に入っての測量や境界確認が必要でしたが、今日、リモートセンシングにより、ドローンによる遠隔での測量と、山に入ることなく町場において画像による境界確認が可能になってきたと伺っております。
そこで、伺います。
現在、リモートセンシングによる地籍調査は、今までの地籍調査に比べ時間や費用がどのように改善されるのか、また、その活用状況と今後の展開についてもお聞かせください。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
リモートセンシング技術を活用した地籍調査につきましては、まさに山林部を念頭に置きまして一昨年の国土調査法の改正で措置していただいたものでございまして、これをしっかり普及していくことが大事だと考えております。
その効果でございます。これは、調査地区の地形でありますとか、あるいは、もちろん大きな面積の方が低コストということはあるんですが、要は、従来の地面を測量する方法と比較して費用で約五割縮減されるという試算結果を得ているところでございますし、また、山林に入りませんので、安全に危険なくできるということでございます。
今後、市町村におきます実際の導入事例などをしっかり検証することによりまして、時間や費用がどの程度効率化されるか、更に定量的な分析を進めてPRしてまいります。
これまでの実績でございます。令和三年度に十六の市と町で導入されておりまして、本年度、令和四年度には二十八の市町村で導入が予定されているところでございます。
この導入促進に向けまして、私ども国交省におきましては、例えば、地方公共団体職員向けの調査マニュアルでありますとか、あるいは研修を実施してまいりまして、今後とも更にそれをアップデートしつつ継続をしていくとともに、やはり今課題となっておりますのが、市町村等におきまして、このリモセン手法はとても費用がかかるのではないか、とても難しく大変じゃないのかという、誤解も含めた心理的ハードルがございます。これを下げていくことが重要と考えておりまして、私ども国交省の方で、各地で直轄でデモンストレーション的なモデル調査を実施しまして、その有効性とかあるいは円滑に導入するためのポイントにつきましてしっかりPRして理解していただく、こういった取組を通じて当該手法の普及に一層努めてまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
今までの半分の予算でできるということで、山に入らないで済むということで、大分と境界確認もやりやすくなるのかなと。是非お願いいたします。
今、まさに木材の価格が高騰する中で、国内の林業の再建というのは今がチャンスなのかな、このように思うところでございます。そして、山林の地籍調査の推進と同時に、山林の区画整理をうまく進めながら、そのことによって民有林への林道の整備が進んでくる。林道ができれば、今度は、そこの山の植栽や伐採や運搬、また製材、更にそこから建築、内装など、林業の六次産業化もどんどん進んでくるのかな、このように期待をしているところでございます。さらに、ただ林業用の針葉樹だけではなく、広葉樹の、バランスの取れた森林の整備により、山林の再生も進むものと思います。
このような中で、リモートセンシングによる地籍調査と同時に、山林の区画整理についても積極的に進めるべきと考えますが、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
森林の持つ多面的機能を十全に発揮していくためには、長期的な視野に立った計画的かつ適切な森林の整備、保全を推進する必要がありまして、森林法において森林計画制度というものがございます。その中に、先生御指摘の、いわゆるゾーニングということをすることになっています。
具体的には、民有林では、市町村が市町村森林整備計画において、水源涵養とか山地災害防止、そういった公益的機能の発揮を重視する、そういう区域を指定する、さらには、木材生産機能の維持増進を図る、いわゆる林業で循環利用をしていくような区域を定める、そして、それぞれの区域に関して施業の方法等の森林の取扱いを示すことによって適切な森林整備、保全を誘導していく、そんな仕組みがございます。
このような森林計画制度の適切な運用を進めることによって、我が国の森林全体について、森林の機能に応じた計画的かつ適切な整備、保全を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○石田委員長 時間が参っておりますので。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
以上で終わります。