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第208回国会 総務委員会 第11号


○赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

 

○輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず心より感謝を申し上げます。

 

 それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきます。

 

 本日は、自治体におけるウクライナ難民等の受入れ体制の整備について伺います。

 

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、国外に避難するウクライナ難民の方は日を追うごとに増え、既に四百五十万人を超えると言われております。世界の国々と協力して、この難民の皆様への支援、まさに財政的な支援と同時に、難民を受け入れることも大変重要であると思っております。

 

 現在、ウクライナ難民について、日本政府が受入れ方針を示したことから、住居や仕事の提供を検討する自治体や企業が増えているところでございます。

 

 具体的に、この受入れについては、出入国在留管理庁の委託により、難民の支援活動に取り組む公益財団法人等が当面の滞在場所の提供や生活費の支給などを行い、その後、難民一人一人の希望も聞き取りながら、受入れの意向を示す自治体や企業等と連携して、地域への受入れが進められることになると伺っております。

 

 ここで、実際に受入れを希望する自治体では、生活基盤の提供体制の整備や、あるいは地域での生活のサポート、あるいは地域住民への理解を促す取組、さらには学校や企業との連携、教育や就労などの定着を支援する体制の整備が必要であると思います。

 

 先日、全国青年市長会の方からお手紙をいただき、このようにありました。

 

 ウクライナを逃れ、救いを求めている人々が増え続けている状況から、人道的支援には一刻の猶予もありません。このような状況から、全国青年市長会の会員市にウクライナ難民の受入れの意思の確認を行ったところ、七十自治体から意思ありという回答がありましたが、具体的な費用負担などの諸条件が整っていないことから、支援を行いたい自治体においても、出入国在留管理庁の呼びかけに最大限応じることが難しい状況となっております。ついては、早急に国として本件に関する財政措置を明確に打ち出した上で、自治体が円滑かつ迅速に支援を行うための条件の整備をお願いいたしますとありました。

 

 こうした状況を踏まえ、自治体におけるウクライナからの難民等の受入れについて、まず、金子総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

 

○金子(恭)国務大臣 今、輿水委員から、ウクライナからの避難民の受入れについてお話をいただきました。

 

 ウクライナから避難された方々への対応については、私も構成員となっておりますウクライナ避難民対策連絡調整会議において、円滑な受入れに向けて政府一体となって取り組む方針が確認されております。

 

 総務省としては、出入国在留管理庁と連携をし、一元窓口の設置など、政府の取組を周知するほか、個別の自治体から寄せられている政府の検討状況や他自治体の取組事例に関する問合せや、あるいは相談を丁寧に聞き取るとともに、自治体に対し、きめ細やかに情報提供を行っているところでございます。

 

 今後とも、自治体等との一元窓口を設置しております出入国在留管理庁としっかり連携を図りながら、関係省庁とも協力し、的確に対応してまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 難民を受け入れた日本語学校や雇用した企業に対しては資金援助の仕組みがあると伺っておるところでございますが、ここで、ウクライナから国外に逃れられた難民の方の九〇%程度が女性と子供とのことでありまして、企業だけというよりも、自治体でいかに丁寧に受け入れていくか、このようなことが大事かなと私は感じているところでございます。

 

 そこで、各自治体が難民を受け入れる上で、例えば受入れを適切に進めるための自治体職員の研修や受入れに関わる予算措置など、難民を受け入れる意向を持つ自治体に対して支援体制を早急に整備するべきと考えますが、見解を伺います。よろしくお願いいたします。

 

○福原政府参考人 お答え申し上げます。

 

 法務省では、これまでに、避難民の方々の在留資格について柔軟な対応を行う、自治体や企業等からの支援申出を把握するための窓口を設置する、自治体が運営する一元的相談窓口における相談対応に要するウクライナ語通訳等の経費補助に係る特例を設けるなどの取組を開始しております。

 

 今後は、関係省庁と連携して、自治体、企業、NGO等からの宿泊先の提供、就労機会の提供等の支援申出を踏まえて、マッチング等を行っていく方針です。

 

 また、困難に直面するウクライナ避難民の方々が本邦で生活していく上で必要となる、当面の宿泊費、食費を始めとした日々の生活に困らないようにするための経費等について、予備費の使用が決定されております。

 

 引き続き、政府全体として、我が国に避難してこられる方への必要な支援等に速やかに対応できるよう、自治体とも緊密に連携の上、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 しっかりと自治体と連携を取っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

 そこで、今度、地域に受け入れられた難民の方々は、特に日本の習慣やマナー、あるいは健康管理、さらには近所づき合い、公共交通の利用など、日本での生活に適応できるように様々なことを学ぶ必要があるかと思いますが、特に課題となるのが、日常生活で、通訳なしでそういった生活を行うのはなかなか難しいのではないか、そのように思うわけでございます。

 

 ここで、総務省では、東京オリンピックでの外国人観光客と日本人のコミュニケーション等の支援も視野に入れた多言語翻訳システム、VoiceTraを開発してきたと伺っておりますが、そこで、総務省が開発した多言語翻訳システム、VoiceTraは、現在、どのような言語に、どのような形で対応しているかにつきましてお伺い申し上げます。

 

○田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 

 委員御指摘のとおり、総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTと連携いたしまして、外国人の方々の言葉の壁をなくすべく、多言語翻訳技術の高度化とその普及に取り組んできたところでございます。

 

 翻訳可能な言語でございますが、三十言語となっておりまして、このうち、英語、中国語、韓国語のほか、ベトナム語、フィリピン語を始めとする訪日、在留外国人対応を想定した十二言語につきましては、実用レベルの高精度の翻訳を実現しているところでございます。

 

 なお、ウクライナ語でございますけれども、現在のところは対応しておりません。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 現在、ウクライナ語は対応していないということでございますが、ウクライナ語も視野に入れて、できるだけ幅広く言語の対応を進めていただければと思うんですけれども、この点につきまして見解を伺います。

 

○田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 

 NICTの多言語音声翻訳技術は、言語ごとに対訳データや音声データ等の言語データベースを整備して、これらのデータをAIで学習させることによって、高精度な音声認識、翻訳、音声合成を実現しているところでございます。

 

 このため、対応言語を増やすためには、AI学習用のデータとして、追加言語に対する大量かつ高品質な言語データベースの構築が必要となってくるところでございます。

 

 先ほど御答弁させていただきましたとおり、現在、実用レベルの翻訳精度を実現している言語は十二言語でございますけれども、現在、新たにロシア語ですとかアラビア語等についても対応するため、データベースの整備を昨年度より開始したところでございます。

 

 なお、言語データベースの構築でございますけれども、一定の費用と期間を要するところでございます。

 

 ということで、更なる対応言語を直ちに増やすということはなかなか困難でございますけれども、今後の難民の受入れ状況ですとか翻訳ニーズ等を注視しながら、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 このVoiceTraなんですけれども、現場では、救急隊なんかも、緊急の搬送のとき、外国人の方の場合、このVoiceTraを使って、容体の確認とか、非常に役に立っているということで、今後の更なる精度の向上につきましても取組をよろしくお願い申し上げます。

 

 続きまして、近年、自治体におけるAIの活用が進められている。その一つに、チャットボットがあります。現在、地域住民の質問等への自動対応や様々な手続の自動サポートなど、自治体の本格的なサービスの一つになりつつあるとも伺っております。

 

 今日、このチャットボットは、自然言語処理、いわゆる自動翻訳機による発言内容の解析や、機械学習による発言タイプの分類などの言語処理精度の向上、さらには、対応シナリオの共通化やテンプレート化が進み、優れたサービスをより早く、より安く導入できるようになっていると伺っております。

 

 そこで、外国人の住民の方が日本での日常生活を少しでも円滑に営めるように、この多言語翻訳システム、VoiceTraをチャットボットへ組み込むことによる、様々な案内や相談の受付、情報サービス等の提供を自動的に進める体制の整備について、所見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○山野政府参考人 お答え申し上げます。

 

 各地方公共団体におきまして、様々な場面における外国人住民対応に当たり、チャットボットによる自動案内を含め、多言語翻訳サービスを活用した多言語対応の体制整備を行うことは重要であると考えております。

 

 総務省といたしましては、自治体における多言語翻訳サービスを活用した先進事例の紹介や、多言語翻訳技術を活用した際の必要な財政措置等を行っておりまして、引き続き、デジタル技術を活用した外国人住民対応に取り組んでまいります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございます。

 

 このチャットボット、外国語だけではなく、様々な自治体の取組に対して適用されることによって、自治体の職員の業務の負担の軽減あるいは住民の方の安全、安心に大きくつながる、このように思っていますので、展開を期待しているところでございます。

 

 このように、日本というのは、現場のインフラが整った上で、まず言葉の壁を越えて、様々な国の皆さんが安全に、安心して、そうやって受け入れられるような体制の拡充もこれから必要になってくるのかな。また、これは難民の方に加えて、いろいろな状況の中で、地域に定住というか、地域の担い手として頑張られる方もいらっしゃる。

 

 このような状況を踏まえて、今後、こういった外国人の方に対しての体制の整備あるいは地域の在り方につきまして、金子総務大臣の御所見をいただければと思います。

 

○金子(恭)国務大臣 ウクライナ避難民の受入れ体制から質問していただき、いろいろな話をいただきました。

 

 実は、数年前、もっと前かな、VoiceTra、無料でダウンロードできるということで、私もスマホで使っていたんですけれども、当時は今ほどは変換率がまだよくなかったんですね。しかし、この前NICTを視察に行きまして、もうかなり充実をして、そして自動翻訳もできるぐらいの状況になっております。

 

 という意味では、そういうツールを使って、やはり、日本に来られる避難民のみならず、日本にお見えになる方々が日常生活に支障がないようにやっていくということは非常に重要なことであると思います。

 

 先ほど局長の方から、予算等々も必要な話もございましたけれども、しっかりと、やはり優先順位はいろいろあって、私もウクライナ語をすぐ探したんですけれども、なかったんですね。そういうことも含めて、先生の御意向を受けながら、我々も総務省としてしっかりと受け止めさせていただき、対応させていただきたいと思います。

 

○輿水委員 本当に一つ一つ、技術で解決できることはできるだけ技術で進めていただきながら、また、やはり最後は日本の一人一人の温かさとかそういったものも含めて、地域の多くの皆さんに受け入れられ、また、安心してここで暮らせるような社会の実現を目指して私も頑張っていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

 

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。