○副議長(海江田万里君) 輿水恵一君。 〔輿水恵一君登壇〕
○輿水恵一君 公明党の輿水恵一でございます。
私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました令和四年度地方財政計画並びに地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)
初めに、新型コロナウイルス感染症から国民の命と生活を守るため、医療や介護等の現場の最前線で御奮闘していただいている皆様に心より感謝を申し上げます。
それでは、令和四年度地方財政計画について伺います。
地方自治体には、新型コロナウイルス感染症への対応に加えて、国民生活に密接に関連する行政サービスを安定的に提供する責務があります。今日、激甚化、頻発化する自然災害への対策、感染症等への対処を踏まえた保健所の人員体制の強化、また、児童虐待件数の増加への対応など、地方自治体には様々な課題に対する迅速かつ的確な取組が求められています。
このような状況下においては、地方自治体の財源の確保、とりわけ、地方税と地方譲与税に地方交付税等を合わせた一般財源総額の確保は極めて重要であります。
令和四年度地方財政計画では、一般財源総額について前年度を上回る額を確保するとともに、地方交付税についても前年度を上回る額を確保しておりますが、この地方財政計画について、令和四年度はどのような考えの下策定されたのか、総務大臣の御所見を伺います。
さて、来年度の一般財源総額を確保し、行政サービスを安定的に提供し続けるようにすることと同時に、将来に向けて、地方財政を持続可能な形にしていくということも重要であります。近年、経済の低成長が続く中で、住民ニーズは複雑化し多様化し続けており、地方財政は厳しい環境に置かれています。
このような状況下において、交付税特別会計の借入金と臨時財政対策債を合わせた地方の債務残高は巨額になっており、この地方財政の健全化に向けた取組が求められています。一方で、防災・減災対策を始め、中長期的な展望に立った地方債の適切な発行も必要であります。
そこで、今回の地方財政対策において、地方財政の健全化にどのように取り組まれたのか、また、地方債についてはどのような考えの下で発行しようとしているのか、総務大臣に伺います。
次に、地方自治体のデジタルトランスフォーメーションについて伺います。
人口減少、少子高齢化が進展する中で、あらゆる現場で人手不足が叫ばれる中、地方行政の現場においても、コンパクトな組織で多種多様なサービスを自在に提供できる、より効率的で利便性の高い行政システムの構築が求められています。今後、地方自治体が複雑化、多様化する住民ニーズに対応した行政サービスを提供し続けていくためには、情報のネットワーク化や様々な現場でのAIの利活用によるサービスの自動化など、行政のデジタル化が急務であると思います。
そこで、社会のデジタル化への流れが加速する中で、持続可能な形で住民サービスを提供していくために、地方自治体のデジタルトランスフォーメーションについてどのように進めようとしているのか、総務大臣に伺います。
固定資産税は、市町村税の約四割を占める基幹税の一つでもあり、その安定的な確保が必要です。
令和四年度は、この固定資産税の土地に係る課税標準額が評価額の五%を上限に引き上げられることとなっていました。この課税標準額の引上げにより、商業地における固定資産税は、約六割の地域で負担増となり、うち約二割の地域で一〇%以上の増税が見込まれていました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、商業地で事業を営む飲食業や宿泊業の業績は依然として低迷している状況でした。
このような現場の実態を踏まえて、公明党は、地域の産業や雇用を守るために、令和四年度に限定した固定資産税の負担軽減も必要であるとの考えの下、商業地の課税標準額の引上げについて、評価額の二・五%を上限とする方針を昨年末の与党税制協議会において提案し、令和四年度税制改正大綱に盛り込ませていただきました。
今回の固定資産税の見直しは、こうしてまとめられた与党税制改正大綱を受けて講じられる措置でありますが、本改正の狙いについて、総務大臣としてどのように見ているのか、見解を伺います。
最後に、森林環境税及び森林環境譲与税について伺います。
森林環境税及び森林環境譲与税は令和元年度に創設され、地方自治体への譲与が始まったところですが、制度創設から三年が経過し、当初二百億円から始まった譲与額も、来年度には五百億円に増額されます。我が党がいち早く主張してきた脱炭素社会の実現や防災・減災対策の観点からも、森林の適正な管理を行っていくことが重要です。
また、森林環境税は、今後、広く国民の皆様から御負担いただくことになりますので、都市部の住民も含めた国民全体の森林環境税への理解が必要となります。そのためには、都市の水源を守る森林の保全や都市部における木材の利用等も積極的に進めていくことも大切であり、それらが我が国の林業の振興にもつながるものと思います。
森林の整備や人材育成等は一朝一夕に進むものではなく、地方自治体においては、中長期的な展望に立ち、積極的に活用していくことが重要であると考えますが、森林環境譲与税の今後の更なる活用に向けてどのように取り組んでいくのか、総務大臣に伺います。
長引くコロナ禍にあって、各地方において、各地域において、また様々な現場において、再スタートに向けた動きが活発化しております。一方で、困難な状況からなかなか抜け出せない方々のお声もたくさんいただいております。
これからも、当面の課題へ迅速に対応するとともに、中長期的な展望に立った上で、地方の一般財源総額を着実に確保しつつ、地域の皆様に寄り添っての生活の再建、そして安全で安心な暮らしを守るための政策の推進に全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇〕
○国務大臣(金子恭之君) 輿水議員からの御質問にお答えいたします。
まず、令和四年度の地方財政計画について御質問いただきました。
令和四年度の地方財政計画では、その歳出において、地域社会のデジタル化や公共施設の脱炭素化の取組の推進、消防防災力の一層の強化に対応するために必要な経費を計上するとともに、保健所の体制強化や児童虐待防止対策の強化のため保健師や児童福祉司等を増員するほか、社会保障関係費の増加などを適切に反映いたしました。
その上で、一般財源総額について、令和三年度を上回る六十二兆円を確保し、その中でも、地方交付税総額について、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保いたしました。
自治体の安定的な財政運営の観点から、最大限の対応ができたと考えております。
次に、地方財政の健全化及び地方債について御質問いただきました。
令和四年度においては、自治体が緊急に実施する防災・減災対策や公共施設等の適正管理、地域の活性化への取組などの必要な事業を着実に推進できるよう、所要の地方債の額を確保いたしました。
一方、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制し、残高を二・一兆円縮減することとしております。
また、交付税特別会計借入金について、〇・五兆円の償還を行うことにより、残高を三十兆円を割り込む二十九・六兆円まで縮減することとしております。
この結果、令和四年度末の地方の借入金残高は、令和三年度末から四兆円減少し、百八十九兆円程度となるものと見込んでおります。
今後とも、必要な地方債の額を確保しつつ、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の着実な償還などに努めてまいります。
次に、自治体のDXについて御質問いただきました。
本格的な人口減少社会を見据え、自治体が安定的に行政サービスを提供するため、行政サービスの更なる向上、効率化が必要であり、自治体DXの取組を進めることが重要であります。
そのため、総務省では、令和二年十二月に、各自治体が重点的に取り組むべき事項等を取りまとめた自治体DX推進計画を策定し、情報システムの標準化、共通化、行政手続のオンライン化、AI、RPAの利用推進などの取組を推進しているところでございます。
今後とも、デジタル基盤改革支援補助金による支援や、先行的な自治体の事例紹介などを通じ、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかり支援してまいります。
次に、固定資産税について御質問いただきました。
令和四年度税制改正においては、土地に係る固定資産税の負担調整措置に関し、地価が一定以上上昇した商業地について、令和四年度に限り、税額の上昇幅を半減させる特別な措置を講じることとしております。
これは、固定資産税は市町村の重要な財源であり、既定の措置を適用するよう求める意見があった一方、足下の経済状況を踏まえ、負担の軽減を求める要望もあった中で、景気回復に万全を期すため、激変緩和措置を講じることとしたものでございます。
最後に、森林関係譲与税の活用に向けた取組について御質問いただきました。
令和元年度から譲与が開始された森林環境譲与税の活用については、間伐等の森林整備の取組が本格化しつつあることに加え、人材の育成や木材利用など、地域の実情に応じた様々な取組が進んでいるものと受け止めております。
総務省としては、森林環境譲与税を有効に活用した取組が更に進むよう、林野庁とも連携し、全国の優良事案の収集、共有や助言を行うことにより、自治体を支援してまいります。(拍手)