輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。
今回、この原子力問題調査特別委員会で初めて質問をさせていただきますので、事故の発生より五年と半年がたったあの福島第一原発の現状等について、まず確認をさせていただきたいと思います。
現在も非常に厳しい状況の中で、本当に、その問題の解決のために必死に努力をされ、そしてさまざまな取り組みをされている皆様に、心から敬意を表するものでございます。
そんな中で、まず規制委員長にお伺いしたいんですけれども、この福島第一原発の廃炉に向けての取り組み、並びに、まだまだ続いている汚染水対策等について、原子力規制委員会としての現状の認識と今後の見通しをどのように考えているのか、まずお聞かせ願えますでしょうか。
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田中政府特別補佐人 福島第一原子力発電所の廃止措置というのは、非常に多くの課題があります。
それで、もう大分改善された面から申し上げますと、まず、最初のころは、労働災害のようなことも起こりましたし、敷地が非常に高濃度に汚染されていて被曝も多いというようなことがありましたので、まず働く環境をよくする。それから、食事もまともにとれないとか、休憩所もないということで、今は、そういった大型休憩所をつくっていただいて、シャワーも浴びられるようになりました。
そういったことで、少しずつそういった点の改善はされておりますが、依然として多くの課題があります。
それで、全体としては四十年程度の期間が廃止にかかると言われておりますが、私どもとしては、全体を見通すということはなかなか今の段階で難しいところがありますので、随時、中期的なリスク低減マップというのをつくりまして、課題を整理させていただいております。
特にその中で、海側海水配管トレンチからの高濃度汚染水の除去あるいはタンク内の高濃度汚染水の処理というのが非常にリスクが大きい課題でしたので、これについては緊急に対策を行っていただきまして、相当対策が進んだと思っております。
しかし、最終的に処理した水を処分することができずに、十一月中旬時点ですけれども、約千基以上のタンクに九十万トン余りの処理水が貯留されている状況にあります。
この中、どうしてそれが排水できないかということですが、基準レベル以下であれば、私どもとしては、海洋放出等をすべきだということを再三にわたって申し上げておりますが、当然、そういったことになれば、いろいろな風評被害とか何かというのはありますので、社会的、政治的な判断が、漁業者等とのネゴシエーションが必要になるということは理解しておりますが、廃止措置を進める上では、やはり処理した水を規制基準以下になったら捨てるということをしていかないと、継続的な廃止措置がなかなか進まないということを私自身は大変懸念しております。
そのほか、現在、タンクを広範囲に、ほぼ敷地も空き地がなくなりつつあるぐらいタンクを設置しておりまして、その影響もありまして、伐採した樹木とか瓦れき、あるいは廃止に伴っていろいろな、さまざまな廃棄物が出てきております。こういった廃棄物については、きちっと処理して、長期に安全に保管できるような対策を進めていただきたいということが当面の大きな課題であります。
デブリの問題が、炉心の中で溶けた燃料の取り出しの問題がよく話題になりますけれども、これはまず、今の段階で、私どもとしては、どういった状況で溶けているのか、どういう状況にあるのかということを調べることが先で、どういった方法で取り出すかどうかというところまで決められるような状況ではないと思っています。
事故から五年余りたちまして相当冷却も進んでおりますので、緊急にデブリから大きな危険が生じるというふうには判断しておりませんので、そういった点は着実に進めていけばよろしいというふうに判断しております。
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輿水委員 どうもありがとうございます。
まさに、汚染水対策、コントロールはされているものの、処理水のその後の処理の問題と、あと燃料デブリ、これは、計画というよりも、実態をまずきちっと把握することが必要だというふうな認識であるということがよくわかりました。
そんな中で、実際にこの作業を進めていくのは経済産業省であり東京電力であるわけでございますが、まず、福島第一原発の一号機から三号機の使用済み燃料プールからの燃料棒の取り出し、そこもきちっと処理をしないと、なかなかその先に進まないと思うわけでございますけれども、その現状の取り組み状況と見通しについてお聞かせ願えますでしょうか。
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小澤政府参考人 お答えいたします。
使用済み燃料プールからの燃料の取り出しでございますけれども、これはまず四号機について、二〇一四年の十二月に、千五百三十三体の全ての燃料の取り出し、これが無事に完了してございます。その後、現在の中長期ロードマップに基づきまして、一号から三号機について、ダストの飛散防止あるいは作業員の被曝低減など安全、安心対策を実施しながら、燃料取り出しに向けた準備を進めているところでございます。
具体的には、まず一号機につきましては、先月、震災後、建屋を覆っておりました壁パネルというものがございますけれども、これの取り外しを完了し、現在、瓦れきの積み重なった建屋上部の詳細な調査を実施しております。調査結果を踏まえまして、本格的な瓦れき撤去に向けた準備というものを進めていきたいというふうに考えております。
それから、二号機につきましては、新しい燃料取り出し設備、これの設置へ向けて、建屋の上部を全面解体する予定でございます。現在、解体工事の準備を行っているところでございます。
三号機につきましては、建屋上部にございました瓦れきの撤去あるいは除染作業は既に完了いたしました。年内には線量を低減させる遮蔽体などを敷き詰める作業を終えまして、年明けにも燃料取り出し設備の設置作業、これに着手する予定でございます。
引き続き、安全確保を最優先にいたしまして、地元の皆様の御理解を得ながら着実に進めてまいりたいと考えております。
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輿水委員 燃料棒の方は着実に作業が進められている中でも、やはり何かが起こると大変なことになると思いますので、慎重な作業をお願いできればと思います。
続きまして、先ほどお話がありましたデブリの問題なんですけれども、やはりそこの調査を進めることが必要だということで御指摘がございましたが、その調査に向けての取り組みの状況についてお聞かせ願えますでしょうか。
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小澤政府参考人 お答えいたします。
燃料デブリの取り出しにつきましては、これはもちろん、安全そして確実に行う必要がございます。
このため、まずは、先ほど田中委員長からも御指摘がございましたように、原子炉あるいは格納容器の内部状況を可能な限り調査、把握することにしております。
このため、これまでに、一号機において、ロボットを格納容器内部に投入いたしまして、内部の画像、放射線量、温度等の情報を取得いたしております。また、一号機及び二号機において、透過力の強い素粒子というものを利用いたしました透視技術による炉内調査というものを行っております。こうした形で内部状況の把握に現在努めてきているところでございます。
今後、一号から三号機の全てにおきまして、遠隔操作ロボットを投入し、順次調査を進めていくことにしております。
こうした調査の結果も踏まえ、来年の夏ごろを目途に、号機ごとの燃料デブリ取り出し方針、これを決定したいというように考えております。
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輿水委員 どうもありがとうございます。
本当にどういう状況になっているかわからない、また相当厳しい状況が予想される、そういった現場の中にありまして、やはり、作業も十分注意をされることと同時に、国内外の英知を結集していただき、適切にその調査を進められることをまず望むものでございます。
それでは次に、先ほどお話にありました汚染水対策なんですけれども、汚染水対策といえば凍土壁ということで今政府が取り組まれているんですけれども、その凍土壁の状況と今後の見通しにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。
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小澤政府参考人 お答えいたします。
凍土壁の状況と見通しでございます。
本年三月末から凍結を開始いたしました凍土壁、海側につきましては、十月に地中部分の凍結、これが完了したところでございます。護岸エリアからの地下水のくみ上げ量、これも減少傾向を示しておりますので、現在、遮水効果を慎重に見きわめているところでございます。
山側につきましては、建屋内の水位と建屋周辺の地下水位、これが逆転が起こらないようにしっかりと管理しながら凍結を進めているという状況でございます。具体的には、凍土壁の内側の水位を急激に低下させないように、七カ所の未凍結箇所というものを残した対応をとっておりました。うち二カ所につきましては、原子力規制委員会から凍結を認可されまして、十二月の三日から凍結を開始したところでございます。
今後、原子力規制委員会の認可を得まして、山側の残り五カ所の凍結、こういったものを完了することで、凍土壁による遮水効果が発揮されていくということを期待している状況でございます。
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輿水委員 どうもありがとうございます。
まさに凍土壁、当初は、どうなるのか、きちっとした機能を果たすのか、そういう課題もあったんですけれども、今のお話の中で、その機能をきちっと果たしながらも、規制委員会の指導のもとに、しっかりと水位を保ちながら今コントロールがされているということがわかりました。
その上で、先ほど田中委員長からお話がありましたとおり、多核種除去設備等で処理した処理水、一定の基準以下のものなんですけれども、やはりいろいろな課題がある、それを今後きちっと処理する方向性もつけなければ、敷地もいっぱいになってしまうし、その後の見通しがつかないということでございましたが、この今後の取り扱いの見通しについて、経済産業省というか現場の方はどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
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小澤政府参考人 お答えいたします。
多核種除去設備等で浄化処理をした水の取り扱いにつきましては、これはやはり非常に重要な課題だというように認識をしております。
原子力災害対策本部の汚染水処理対策委員会のもとに設置いたしましたトリチウム水タスクフォースにおきまして、本年六月までにさまざまな選択肢を検討してまいりました。主に五つの選択肢についての技術的な評価結果を取りまとめたところでございます。
これはあくまで技術的な評価結果でございますので、さらにその上で、本年九月、同委員会のもとに、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会というものを新たに設置いたしまして、十一月十一日から議論を開始しているところでございます。この小委員会では、技術的な観点に加えまして、風評被害などの社会的な観点も含めて総合的に検討したいというように考えております。
今後、地元の方々、あるいはさまざまな専門家の御意見を丁寧にお伺いしながら、処理水の長期的取り扱い、その決定に向けてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
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輿水委員 どうもありがとうございます。
ただいま、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会ということで、今後検討が進められるということで、地元、現場の意見、総合的に配慮をしていただきながら結論を慎重に出していただければ、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、こういった中で、先ほど委員長よりもございましたけれども、廃炉というのは非常に時間がかかる、また、そこの対策というものは中長期的な展望に立ってきっちり進めなければいけない、そういう課題であるわけでございます。
そんな中で、やはりその主体としてしっかり最後まで責任を持たなければいけないのが東京電力ということでございまして、責任を持ってこういった作業、終わるまできちっとなし遂げる、そういった意味では、事業の運営のあり方も含めた改革も必要だと考えますけれども、その点の見通しについてお聞かせ願えますでしょうか。
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小澤政府参考人 お答えいたします。
福島第一原子力発電所の事故の収束、それから福島の復興をなし遂げる、これは震災後のエネルギー政策の原点でございます。しかし、事故から五年半を経過した今も避難指示は続いております。また、事故収束も道半ばにあるという状況でございます。一方、賠償あるいは除染など、事故に伴う費用は増大傾向にございまして、東京電力の競争力確保は加えまして途上にあるという状況でございます。これらを放置すれば、事故の収束あるいは福島の復興の歩みというものが滞りかねないという懸念を持っております。
この課題にしっかりとした解を見出すために、この十月から、東京電力改革・一F問題委員会というものを経済産業省で設置をいたしまして、議論を進めているところでございます。
この委員会では、東京電力が福島への責任と電力自由化の中での競争とを両立させること、それから、原発事故を起こした東京電力が原子力事業を継続させ、国有化を卒業し早期に自立するためにいかなる東電改革を行うべきかについて、有識者に検討いただいているところでございます。
まだ引き続き議論が続いている状況でございますけれども、福島の安心、それから国民の納得、それから気概に満ちた現場を実現する東電改革の提言にぜひつなげていただきたいというように考えております。
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輿水委員 ありがとうございます。しっかりとこういった責任を果たせるように、東電の改革につきましても取り組みをよろしくお願いを申し上げます。
最後の質問になるかと思うんですけれども、今原子力発電はとまっている状況でございまして、そのために、石炭火力発電が一気に、急激にふえて、これからも多くの計画されているものもあるわけでございます。また一方、我が国も、二〇三〇年度には二〇一三年度比で二六%のCO2の削減、そういった目標も掲げてしっかりと取り組まなければならない。
このような状況にある中で、こういった総合的な現実、現状をしっかり見定めた上で、このCO2の削減への取り組みのあり方、また、総合的にさまざまな機関と連携しながら考える、そういった大事なときでもあると思うんですけれども、環境省の見解についてお聞かせ願えますでしょうか。
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鎌形政府参考人 CO2削減に関してのお尋ねでございます。
電力部門の温暖化対策につきましては、ことし五月に閣議決定いたしました地球温暖化対策計画に基づき、再生可能エネルギーの最大限の導入や徹底した省エネルギーの推進に取り組んでいくということとしてございます。
御指摘の石炭火力につきましては、石炭火力の新増設が制約なく進むと国の削減目標の達成が危ぶまれる、こういう状況だと考えてございます。
このため、ことし二月に、環境、経産両大臣の合意に基づきまして、引き続き、電力業界の自主的枠組みの実効性、透明性の向上を促すとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法に基づく基準の設定、運用の強化などの政策的対応を行うことにより、電力業界全体の取り組みの実効性を確保することとしてございます。
また、こうした取り組みが継続的に実効を上げているかどうか、これを毎年度、進捗状況をレビューするということとしてございます。目標が達成できないと判断された場合には施策の見直し等について検討する、こういうこととしてございます。
こうした取り組みを通じまして、環境省として、我が国の削減目標の達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
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輿水委員 本当に一つ一つの問題が難しくて、また、非常にさまざまな関係性というか課題を抱えているとは思うんですけれども、そういったものを丁寧に、慎重に、そして確実に進めていただければと思います。
大変にありがとうございました。以上で終わります。