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第187回国会 厚生労働委員会 第7号


感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)(参議院送付)


○渡辺委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 

 先ほど来委員の方から質問がございましたように、感染症は、発生してから慌てて対策をとるのでは遅過ぎるということで、事前にスタッフから体制をどのようにきちっと整えた上で、適切な対応をしてその拡大を抑えるか、これが大変に重要な課題であると考えているわけでございます。

 

 先ほど来さまざま質問がありましたが、私の方からも、もう一度その点につきまして。

 

 今、エボラ出血熱が発生をしている中で、もう今はグローバル社会でございますので、世界のどこで発生しても、この危険性というのは私たち日本にもあるわけでございまして、先日、国内においてもその疑いのある患者が発生したというふうに伺っておりますが、今後、こういった感染症、エボラ出血熱等の医療機関での感染症予防対策、準備をしっかりとやっていかなければいけない、また、やっていると思いますが、まずその状況をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○新村政府参考人 お答えいたします。

 

 厚生労働省におきましては、特定感染症指定医療機関及び第一種感染症指定医療機関の医師を対象といたしまして、平成十三年度から定期的に、海外で一類感染症の実際の症例の診察、治療も含めて経験させる等の研修を実施してきております。

 

 さらに、今回の西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大を受けまして、厚生労働科学研究班におきまして、医療従事者に対する感染防御策の研修会を十月から開始しております。年内には全国十四カ所以上で実施する予定であり、さらに、本日、国際医療センターで全国の感染症指定医療機関の医療従事者にお集まりいただいて研修を実施することとしております。

 

 引き続き、医療機関での感染予防対策等が適切に講じられるように、必要な支援をしてまいります。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 医療機関はまた、ふだんからの訓練、対応も非常に大事だと思いますので、その辺も怠りなく進めていただければと思います。

 

 さて、今般の法改正におきまして、動物から人へ感染する鳥インフルエンザが人から人へ感染するようになるおそれがある特定の鳥インフルエンザにつきまして、血清亜型を政令委任することにより二類感染症に位置づけることとしている、このように認識しておりますが、このような病原体の変異の発生は今後もあるのか、また、どのようにこれを捉えてそれに対応しようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○新村政府参考人 鳥インフルエンザにつきましては、ウイルスの変異が突然かつ頻繁に生じるため、今後も、二類感染症に相当する新たな血清亜型の鳥インフルエンザの発生はあり得るものと考えておりますが、その発生を前もって予測するというのは困難でございます。

 

 今般の改正法案におきましては、ウイルスの変異が突然かつ頻繁な鳥インフルエンザについてのみ、法律におきまして、新型インフルエンザに変異するおそれが高いものというふうにその性質を明確化した上で、政令によって血清亜型を定めるということで、期限を設けることもなく二類感染症として指定することができることとなりますので、新たな鳥インフルエンザが発生した場合にも、機動的にこれは対応することが可能になると考えております。

 

○輿水委員 いずれにしても、早期の対応とそして適切な行動が必要になる、そのためにもこの指定というのは重要になってくるというふうに認識をしております。

 

 さて、次に、二〇〇二年、東アジアを中心にSARSが発生した、そのとき、SARSというのは当初は、病原体が特定できない、そういった形で、どのようになるのかとかどこまで広がっていくのか大変騒がれたわけでございますが、この感染症法において、病原体の類型、病原体をしっかり特定していく、そういったことが必要になるのかなと思うんです。

 

 感染症法において、病原体が特定されていない、そういったものが発生しました、そのときに、どのような類型にまず指定された上で、どのような取り組みがとられていくのか、この点についてお聞かせ願えますでしょうか。

 

○新村政府参考人 病原体が特定できない感染症につきまして、この疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病の蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある、こういうふうに認められる場合には、その当該感染症につきましては、感染症法において新感染症として位置づけられることになっております。

 

 新感染症につきましては、感染症の性状が明らかでなく、一類感染症と同程度の危険性があることもあり得るということから、一類感染症に相当する措置まで実施できるとされております。

 

 なお、SARSの例もございましたけれども、その後、新感染症の病原体が判明した段階で、指定感染症への指定、あるいは、一類感染症から五類感染症までの適当なところへの分類などを行うということにしております。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 そこで、病原体が特定できない方が入院隔離された場合、とにかく病原体を特定しなければ、その先がなかなか進まない。そして、その特定によって感染の拡大の防止も進むように思いますが、まず、特定するためには検体の採取あるいは分析が必要になると思いますが、今般の法改正でその点がどのように進められるようになるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○新村政府参考人 効果的な感染症対策を講じる上で、確実にその発生状況を把握し、病原体の種類、特性や感染経路など、感染症に関する情報を迅速かつ的確に収集することが重要でございまして、患者さんから採取された検体はそのための非常に重要な資料になるものでございます。

 

 現行の感染症法におきましては、都道府県知事は必要な調査を実施できる旨の規定はございますが、検体の採取については明確な規定がなかったということから、関係者からの協力を得る際に支障を生じるケースがあったということでございます。

 

 また、都道府県知事から要請を受けた側には、協力する努力義務はございますが、協力を拒否された場合には、都道府県知事が検体を入手することが困難であったという側面がございます。

 

 このため、今般の改正法案におきましては、全ての感染症について、医療機関に対して、保有する検体の提出を要請することができるといたしております。また、特に一類感染症などの感染症については、これらの感染症の患者の検体を所持している医療機関から検体を収去できるとすることのほか、それでもなお検体を入手できない場合には、都道府県知事がこれらの感染症の患者から検体を採取できる、こういった内容を規定してございます。

 

○輿水委員 ありがとうございます。

 

 そこで、今後、例えば検体からいろいろな分析が進みまして病原体が特定できた、また、その後、さまざまな方の検体を検査していく、そのときに、やはり適切に迅速に行うことが必要になるのかと思いますが、この点についての取り組みはどのようになっているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

 

○新村政府参考人 今般新設する検体採取の措置につきましては、一類感染症など公衆衛生上特に重要な感染症に限定することや、患者本人ではなく医療機関からの検体の収去を優先させる、措置に当たっては、事前の勧告の実施、書面による理由の提示などの手続を踏むこと、検体の採取は検査に必要な最小限度で行うことなど、人権にも十分配慮した手続に従って丁寧に行う仕組みとしております。

 

 また、検体の分析につきましては、改正法案の中で、検体の検査に当たって、厚生労働大臣が策定した基準を遵守して行うということを定めております。

 

 これによりまして、検査の質が向上すると考えておりまして、病原体の分離、同定等につきましても確認の精度が向上するということもございますし、検査体制の整備が進むということにより、その実施を確実なものにすることが可能になると考えております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 それでは、最後に塩崎大臣に。

 

 やはり、感染症、発生して慌てて対応をとるというよりも、ふだん事前にどういった体制を整えていくのか、また、人材の育成についても、すぐにできるようなものではなくて、ふだんからの訓練が必要であるというふうに考えますが、国民の安全、安心、こういった状況の中にあって、どのように今後この感染症に対して確保されていこうとしているのか、大臣の御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

 

○塩崎国務大臣 ボーダーレスになったこの世界の中で、人が大変出入りをする、物も出入りするということで、感染症が本当に国際的なリスクになっているわけであります。

 

 御指摘のように、感染症対策は、健康危機管理だけではなくて、国家の安全保障のレベルでも考えていかなきゃいけない、命を守るということで一層強化が必要な分野であって、とりわけオリンピック・パラリンピックもあって、さらにまた日本にいろいろな人が来る、そういう中で、情報収集体制の強化等を通じて、今回の感染症法の改正をお願いしたわけでございます。

 

 エボラ出血熱の対応が今当面の危機でありますけれども、これにはやはり行政の対応、そして医療機関の対応、そして国民の理解と御協力、この三位一体があって本当に感染を封じ込めることができるようになるだろうということに私は大変大事なポイントがあると思っております。

 

 きょう、先ほど来申し上げているように、県の担当課長を集めて、訓練の実施も今後やるようにということでお願いをするわけであります。そしてまた、一種感染症指定医療機関の皆さん方、専門家の皆さん方あるいは現場の人たちを対象にした研修を全国各地で行うとともに、きょうは、むしろ向こうから一堂に会してもらって、そこで、防護服の着脱を含めて実際に学んでいただくということで、認知度を上げていこうということでございます。

 

 もちろん、ホームページ、ツイッター、政府広報等々、情報提供を強化していきたいと思いますけれども、この感染症の高まるリスクにしっかりと国を挙げて対応していきたいというふうに思います。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 地方自治体も含めた行政の対応、そして医療機関の対応、そして国民の対応、この三つともしっかりと進められることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 

 大変ありがとうございました。