国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
○井上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。
まず初めに、私は、国家公務員制度全体について、大臣に質問をさせていただきたいと思います。
このたび、内閣の人事局が立ち上がりました。この内閣の人事局、今、やはり一つ一つの政策が一つの省庁だけではなかなかおさまらない、全体が連携をしながら、省益よりは国益という視点を持った、また、そういったコーディネートができる人材の登用が非常に大事になっている。そのような中で、内閣人事局におきまして人事の一元化をしながら、そういった全体観に立って人材を育成しながら登用を図っていこう、こんな取り組みの中でこの人事局が設立されたというふうに思っております。
そこで、有村大臣は以前、民間の企業の人事部の能力開発の担当の部門でも御活躍をされていた、そういったことも伺っておりますが、今回、この人事局の発足により、人事管理において具体的にどのような点が変わったのか、また、どのように変えていこうとしているのか、また、現在の取り組みや今後の抱負について、国家公務員制度担当になられた有村大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○有村国務大臣 おはようございます。
御指摘ありがとうございます。
内閣人事局が発足して五カ月が経過いたしました。スピード感を持って課題に取り組み、さまざまな成果を上げることができつつある、その着手し始めた第一段階に入ったという認識でございます。
具体的には、官房長官の御担当ではありますけれども、今夏の人事について、幹部職員人事の一元管理のもとに、本年六月に改定されました採用昇任等基本方針において幹部職への任用方針をあらかじめ明らかにさせていただいた上で、任免協議を行ったことなどがありまして、女性の積極的登用、府省間の人事交流の推進を含め、先ほど委員おっしゃったように、省益ではなくて国家国民益の追求という意味では、内閣全体で戦略的な人事配置ということに着手でき始めたというふうに認識をしております。
また、この基本方針のもとで、女性職員の採用、登用の拡大や職員のワーク・ライフ・バランスを政府一体として推進していくことを確認しておりますし、今月十七日には、具体的な施策を盛り込んだ政府全体の取り組み指針を取りまとめていただいたところでございます。
加えて、国家公務員法等改正法を踏まえ、総人件費や幹部候補育成課程に関する方針等を策定しました。
引き続き、政府全体で適材適所となる戦略的な人事配置を行うために、次世代を担う若手職員、女性職員の活躍推進など、すぐれた人材の育成、活用を推進したいと存じます。
私の民間企業に対しての、御質問の中で御言及いただきましたが、国家公務員の皆様のやる気、士気ということを引き続き高めていけるように、そういう姿勢で取り組むことも大事だなというふうに思っております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
まさに、人事の管理において、一人一人の勤務実績を的確に評価し、人材を育て、適切に配置していけるかどうか、大変に重要な課題であると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
さて、そこで、今回の一般職の職員の給与に関する法律の改正において、ボーナスの引き上げ分は全て、勤務実績を反映する勤勉手当に配分するとしています。ここで、勤勉手当が公平公正に支給されるためには、人事評価が適正に実施されなければならないと思います。
そこで、現在、適正な人事評価を行うための仕組みはどのようになっているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
現行の国家公務員の人事評価制度は、平成二十一年十月から実施されてきておりまして、その評価結果は、給与で申し上げれば昇給や勤勉手当に活用されているところでございます。
この人事評価は、職位ごとに定められた客観的な評価基準に照らし、発揮した能力を評価する能力評価と、面談等の所定の手続を経て設定された目標に照らして、上げた業績を評価する業績評価から構成されているところでございます。
人事評価に当たりましては、評価者以外にも複数人が確認を行うなど、公正性、透明性にも配慮しつつ、適切に評価する仕組みを整備しているところでございます。
今後とも、職員の人事評価制度に対する理解を深めさせ、評価者に対する訓練に取り組むなど、人事評価制度の適切な運用に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
適切な評価、運営、よろしくお願いしたいと思いますが、今回のこの改正につきましては、地方公務員にも適用されるというふうに伺っております。やはり、地方においても人事評価が適切に行われることは大変重要な課題であると思いますが、現在の取り組み状況と今後の方針についてお聞かせ願えますでしょうか。
○丸山政府参考人 地方公共団体における人事評価につきましては、能力、実績に基づく人事管理を推進する観点から、従来から助言等を行いまして、その普及を図ってまいりました。その結果、勤務評定の制度の運用といたしまして、国の人事評価制度と同様の取り組みを行っている団体は、平成二十四年度で、都道府県で約八割、指定都市で九割を超える水準となっておりますが、市区町村では三割程度といった状況でございます。
総務省といたしましては、さらなる人事評価の導入を図るため、従来の勤務評定制度にかえまして人事評価制度を地方公共団体に導入する地方公務員法の改正案をさきの通常国会に提出いたしまして、四月に成立させていただいたところでございます。総務省としては、改正法に基づきまして、平成二十八年四月からの本格実施を念頭に、地方公共団体に対しまして、説明会の開催や関連する通知の発出、人事評価に係る専門家の派遣などを積極的に行いまして、必要な助言等を進めてまいります。
また、人事評価制度の円滑な導入や運用に向け、有識者や地方公共団体の実務家によります研究会を開催しまして、小規模団体を初め、人事評価制度がいまだ導入されていない団体の参考になりますように、人事評価の実施規程や評価記録書、実施要領などの参考例を中間報告として取りまとめまして、ことし十月に情報提供したところでございます。
引き続き、総務省としても、必要な助言、情報提供等を行いまして、人事評価制度の円滑な導入や運用とともに、勤勉手当を初め、給与等への反映が適切に行われますよう取り組んでまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
ちなみになんですけれども、今回の実務実績による人事評価、勤勉手当で、最も優秀な職員と標準な職員の方の間に生ずる差というもの、この額というのは、職員の皆様が、一生懸命働いていこう、また、自分のやったことをしっかり評価してくれて、次も頑張ろうというふうなインセンティブとして十分働くと考えているのかどうなのか、その点についてお聞かせ願えますでしょうか。
○古屋政府参考人 勤勉手当は、今お話がございましたように、基準日以前における直近の業績評価の結果、これに基づきまして四段階の成績区分に決定されることになっております。
その具体的に適用する成績率に関しましては、人事院規則で定める範囲内において各府省がそれぞれ決定するということになっておりますが、平準化されます二十七年度以降につきましては、例えば、三十五歳の係長で標準という職員につきましては、勤勉手当につきましては各期約二十万三千円となっているところでございます。
これに対しまして、特に優秀な職員の支給額というのは、幅がございますが、二十六万三千円から四十二万四千円の範囲で決定するということになっておりますので、約六万円から約二十二万円加算されるということになりますので、職員にとっても十分なインセンティブになっているのではないかと考えております。
○輿水委員 わかりました。どうもありがとうございます。
さて、昨今、今国会も地方創生が大変重要な課題となっておりますし、また、地域のまち・ひと・しごと、そういった地域に光を当てて、地域がいかに発展するか、成長していくか、ここが大きな課題になっておるわけでございます。
そんな中で、やはり地方機関に勤務する国家公務員に対して適切な評価や処遇を確保し、地方経済等を好転させる責任を積極的に果たしていただくことも大変重要なのかなと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、地方機関で勤務する職員も含め、公務員の適切な処遇を確保することは重要な課題であると考えておりますが、給与について国民からの理解を得るためには、地域ごとの民間給与水準をより的確に公務員給与に反映させることも重要であると考えております。
なお、官民較差に基づく平成二十六年度の給与の引き上げにより、平均年間給与は一・二%増加することになりまして、今回の給与制度の総合的な見直しにおきましても、職員の生活への影響等を考慮しまして、平成二十七年四月から三年間の現給保障措置を講ずることとしておりまして、直ちに地方機関の給与が下がるわけではございません。
いずれにしましても、地方創生等重要な課題に取り組んでいくためには、私自身も公務員の一人でございますけれども、公務員の一人一人が国民の立場に立って責任を自覚して職務に当たることが重要なことであると認識しているところでございます。
○輿水委員 ありがとうございます。
そしてもう一つ、地方というと地方自治体、そこの職員、国では内閣人事局でそういった総合的、統括的な仕事をする人材の育成と配置を進めようとしているわけですけれども、やはり地方においても、もう今は、国から来た制度をどう使うかというよりも、今地域にある資源をどう活用して新しい町づくりを進めるか、そういった企画力やコーディネート力を持った人材の育成が必要だと思うんですけれども、先ほどの人事評価のあり方の改革と同時に、そういった人材の育成についての考え方をお聞かせ願えますでしょうか。
○丸山政府参考人 地方創生に取り組んでいく上で、地方公共団体が地域の課題についてみずから考え解決していく政策形成能力や、高度化、多様化する住民ニーズに的確に対応できる高度な能力を持った職員の育成が不可欠であると考えてございます。総務省といたしましては、従来から、各地方公共団体に対しまして、人材育成の基本方針や研修に関する基本的な方針の策定と積極的な取り組みを促してまいりました。
地方公共団体におきましては、それぞれの団体における研修の充実を図るとともに、総務省自治大学校などの全国的な研修機関も利用されるなど、自主的、積極的に職員の資質向上に努めていただくことが重要であると考えております。総務省としても、引き続き、必要な情報提供を行うなど、各団体の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
また、さきの通常国会で成立した改正地方公務員法におきまして、地方公共団体で導入することとなった人事評価では、面談やフィードバック等を通じた人材育成も狙いの一つとしているところでございまして、地方公共団体における人事評価制度の円滑な導入や運用が図られますよう、引き続き必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
申し上げましたように、地方公共団体における基本方針の策定と各種の研修の充実、さらに適切な人事評価の実施を通しまして、地方公共団体における総合的な人材の育成をさらに推進してまいる考えでございます。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
本当に、人材が育ち、その人材の皆様が縦横無尽に活躍できる国家公務
員また地方公務員の組織の構築を期待し、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。