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第186回国会 内閣委員会 第18号


・独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
・独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)


○柴山委員長 次に、輿水恵一君。

 

○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 

 本日は、参考人の先生方、大変にお忙しい中を、貴重な御意見を賜り、心より感謝を申し上げます。

 

 本当に、さまざま多種多様な、そういった法人が、今までは一律の独立行政法人という形で縛られて、なかなか自由な、そういった活動も制限をされていた。今回、三類型に分かれて一歩前進というか、しかし、宇賀先生もおっしゃられていましたが、やはり、目標の設定とか評価のあり方、同じ類型の中にあってもまだまださまざまな法人がある中で、そういったものをいかにきちっと適切に進めていくか、これがまた大事になってくる、そんな御指摘もいただきました。

 

 また、樫谷先生からも、企画と立案、そして実施という部分が分かれていることはいいんだけれども、やはりきちっとした実績を出していくためには、その連携がまさに必要である、大切な御指摘をいただきました。そんな中で、やはり会計士の先生でございますので、費用対効果、こういったものをどうきちっと見ていくのか、今、ここが一つ大事なところである、そんな御指摘もいただく中で、制度は変わったとしても、運用というか運営、それ次第で、これが大きく価値あるものになるのか、やはりやっても変わらなかった、そういうふうになる、そういった御指摘もいただきました。

 

 さらに、野間口先生からは、特に研究開発型の法人につきましては、今までの定型的な業務を効率的というよりも、やったことがない、そういったものを新たに開く上では、国の力を結集して進める、そういった成果の最大化を目指す上でも、さまざまな人材の交流だとか、あるいは成果を具現化する、ここにやはり最終的な意味があるし、そこに効果が出てくる、そのためのルールというものもちゃんとしていかないと意味がないんじゃないか、そんな御指摘もいただきました。

 

 安永先生におきましては、国の関与を可能な限り、弾力的な運営をしながら、やっている皆さんが、すばらしい一つ一つの法人、やはりこの世の中に必要な、また大切な、そういったものでございまして、誇りと自信を持って、また将来の自分の立場というものに安心をしながらしっかりと働ける環境づくり、こういったものが大切だ、いずれにしても、制度は変えたものの、これから運用、運営の部分で本当の勝負があるというお話でございました。

 

 もう一度ここで改めて、まさに制度はこういった形で、また、PDCAサイクルといっても、それがどういう視点でどういうふうに動くことによって今回の改革がより効果的なものになるのかという点が大事だと思うんですけれども、この制度を改革して、運用という部分で一番留意する、そこをしっかりと押さえることによって、この制度改革が、新しい独法の大きな進展、また成果が最大化できる、そういったものにつながるんだという、そのポイントを皆様方に一言ずつ、大変に広い質問で申しわけございませんが、本当はお一人お一人三十分ずつぐらいやらないとなかなか出てこないことかもしれませんが、お一言ずつで絞っていただいて御答弁をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○宇賀参考人 一点に絞って申し上げますと、私は、やはり評価ですね。評価に際して、各法人の特性というものを十分に反映した形での評価が行われるということが非常に重要であるというように考えております。

 

○樫谷参考人 私も評価だと思いますが、目標設定ですね。これは極めて難しいと思っております。難しく言えば、必ず達成できるような目標をつくるとか、あるいは、高過ぎて達成できなくて評価を下げてしまうとか、ミスリードしてしまうとかということもありますので、目標設定というのは極めて重要である、こういうふうに考えております。

 

 もちろん、評価も極めて、ただ、目標設定が十分できれば、評価も比較的しやすいというふうに考えております。

 

○野間口参考人 大変重要な指摘でございます。

 

 私は、今回のこの法律、行間に、これまでの研究、例えば産総研のような公的研究機関は非常にコストを発生するものだと、これをいかに効率よく低く抑えるかという工夫をしろというのが世間的な理解だった。ところが、今回の法案の行間には、国の力、宝を生み出す先兵だというような位置づけのもとに考えていただいているというふうに読み取れると思っておりまして、ぜひ、そういうものが具体的な施策として生きるような形で、引き続き各施策の制度化に御指導いただきますようにお願いします。それが一番大きな効果を発揮するんじゃないかと思います。

 

○安永参考人 ありがとうございます。

 

 評価の、単年度だけの評価ということ、目標設定、評価ということにならないように留意をしないといけないというふうに思っておりますし、自主性の尊重、それから自己改善のインセンティブの向上ということが言葉だけにならないように、しっかり注視をさせていただきたいというふうに思っております。そのためにも、この改革を一旦の集大成ということで終止符を打って、腰を据えて取りかかっていくことが必要だというふうに思っております。

 

 以上でございます。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 PDCAサイクルの中でやったことに対して、どう評価をして、また改善を加えていくのか、まさにそのことも大事なんですけれども、その上で、私も、先ほど樫谷先生がおっしゃられたように、目標の設定、ここを間違ってしまうと、幾らこの見直しをしても変な方向に行ってしまうのではないか、また、目標をきちっと設定することによって、自分たちのやっている業務がどれだけ大事なことで、この目標を達成しなかったらどうなるのか、そういったきちっとした使命感と責任感を持って遂行するような、そういった目標の設定が非常に重要になってくると思うんです。

 

 そういった、個々、多種多様な法人が、三類型に分けたといっても一緒になっているんですけれども、やはりその目標の設定をいかにそれぞれの法人が正しくやっていくのか、そのためのポイントとなるような点につきまして、先生方に一言ずつお願いできますでしょうか。

 

○宇賀参考人 ただいまおっしゃられた点は非常に重要な点で、まず、その目標そのものが適切でないと、それに向かって努力しても間違った方向に行ってしまうということが確かにございます。そのためには、目標を設定するに際しまして、主務大臣が各法人から十分に意見を聞いて、現場の実情からかけ離れたような目標を設定しないということが重要でございますので、ぜひ、主務大臣が目標を設定するに際しましては、各法人の意見を十分に反映させていただきたいというふうに思います。

 

○樫谷参考人 目標設定のポイントというのはなかなか難しいんですけれども、先生先ほどおっしゃったとおり、目標設定に向かって、独法の職員全員がその達成に向けてやらなきゃいけないわけですけれども、独法の職員がわかるというんですかね、まず中の話なので、外の話でもあるけれども、目標は、外での公約でもあるけれども、中での約束でもあるわけですね。だから、独法の職員がここに向かっていけばいいんだということがやはりわかりやすい目標でないといけないというふうに考えております。

 

○野間口参考人 もう既にお二方から大変よい指摘が出たと思いますが、この三つの類型の法人の中で、研究開発法人といえども、ほかの法人、あるいはその余の大学とかとも連携して、自分のところにとどまらずに世間を広く見ながら、自分のところの目標が是か非かとよく検討しながら進めていく、こういうことは非常に重要かと思います。

 

○安永参考人 一言で申し上げて、職場の感覚がどう上に伝わり、上の立てた目標が職場にどういうふうに伝わるかということだと思います。

 ただ、それぞれの組織が大きかったりして、なかなか上司に対して言えなかったりとか、部下にきちんと伝わらなかったり、そういうことが間々民間でもございます。そのためにも、労使の協議の場的なものをぜひ活用していただいて、うまく職場の声が上がるように努力していただければというふうに思っております。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 そして、今回の法案の一つのポイントが、類型と同時にPDCAサイクルが機能する目標、評価、仕組みの構築という形になっているんですけれども、単純に、これは今回言わなくても当然やるべきことでございますし、やってきたことだと思うんです。

 

 これを一律にやるよりも、たまには、ことしはこの独法でとか、これは抜き打ち的になってしまうかもしれないんですけれども、丁寧に一つ一つこういったサイクルできちっと見て、目標の設定が正しかったのか。あるいは、三年から五年の目標のものもあれば、長期、七年のものもあると思いますけれども、だからといって、それを達成するためには中間的なステップの目標があるわけで、そういったところもきちっと管理をしながら、丁寧に一つ一つ見ていくような、そして、こういうふうに見られるんだったらきちっとやらなきゃいけないんだ、そういった取り組みなんかも必要ではないかな、より深く評価をする必要もあるのかなと思うんです。

 

 時間も迫っておりますので、この点につきましては、会計士、税理士でございます樫谷先生の方に、費用対効果のあり方、あるいは目標に対してきっちりとかけた費用分だけ成果が出るようなあり方をしっかり評価し、また、その方向に全体が行くような、そういったサイクルのあり方につきまして、御所見をいただければと思うんですけれども。

 

○樫谷参考人 なかなか難しいと思いますが、今まで政独委というところで、私は二次評価の経験がございます。年度評価とそれから中期目標の評価というのがございます。年度評価は今回はございませんが、新しくできました独立行政法人評価制度委員会では、見直しについてでありますけれども、中期目標期間の評価ということになっておる。

 

 とはいっても、では終わってから評価したらいいのかということではなくて、先生おっしゃったとおり、その途中途中、何回か評価をしていかないと、途中の中間評価というんでしょうか、それをしっかりしていかないと、終わってしまったのでは実は遅いので、やはりそのプロセスプロセスでしっかり見ていくということが必要ではないかというふうに思っております。

 

 以上であります。

 

○輿水委員 どうもありがとうございました。

 

 まさに、そしてまた私たちが懸念しているのは、評価のために仕事がふえるのでは意味がないわけで、そういった意味でも、目標とその中間の管理する内容をきちっと決めておくことによって、仕事をきちっとやれば、自然に、それがそのまま評価のそういった書類にもつながってくる、そういった取り組みも必要なのかなというふうに感じているところでございまして、まさに今回の改正は、本当に運用面、運営面でしっかりと効果が出るものになるように、私たちもしっかりと見守りながら取り組んでまいりたいと思います。

 

 きょうは本当にありがとうございました。以上で終わります。