・国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
○柴山委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、参考人の皆様、貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございます。また、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝申し上げます。
さて、今回の国家公務員制度等の一部の改正、内閣人事局にしっかりと集中をさせていく、私は、この制度自体、非常に大事なことだと思っています。その上で、これがどのように活用されて運用されていくか。これは今、私たち、我が国が抱えているさまざまな課題に対して、各省庁がどう連携をしながら機能的に働くか、大事な改革だと思っております。そういった意味では、これがしっかりと動くように、皆様方から御指導いただきながらも進めていきたいと考えております。
その上で、まず、基本的なところを確認させていただきたいんですけれども、何回も確認があったかと思いますが、今回、公務員の皆さんには労働基本権の制約があって、人事院の代償機能という形で今まであった。今法案においても、適格性審査や幹部候補者名簿の作成に当たっても人事院の意見を聞く、さらに、級別定数の設定等については、意見を聞きながらもそれを尊重するという、意見を聞くとか尊重する、そういった形で、意見を聞いても聞かないというのはなかなかやりにくいんじゃないかということで、相当きちっとした、ある程度の機能が担保されているのではないかなというふうに感じております。
その上で、島田先生に確認をさせていただきますが、公務員も労働者でありながら、労働基本権の制約があることに対して、その合憲性を担保しているのが人事院なんだと。今回のこの記述でそれが担保されているのかどうなのかについて確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○島田参考人 ありがとうございます。
合憲性の担保という意味での人事院というのは、先ほども申し上げました、あくまでも現在の最高裁の判決に即したということで、私の個人的見解とは若干異なるんですが、それを前提とさせていただきまして申し上げたいと思うんですが、やはり、このような場合に、指定職の号俸決定、級別定数については、権限としては内閣人事局に移る。
確かに、意見を尊重するというのがありました。それによって、一つの考え方としては、これは代償機能をなお保持しているんだ、こういう解釈もあり得るのかとは思いますが、しかし、権限が移管したということをどう評価するのかということになりますと、別の考え方もあり得るのではないだろうかというふうに思っております。
結果的には、人事院という制度も残り、内閣人事局ができるという両者痛み分けみたいな印象を持つわけですが、しかし、抜本的に考えていくとすれば、むしろ内閣人事局が本当に機能するためには、そうした権限の移管をして、そのことによって生じた基本権問題というのは、きょう申し上げたような方向で検討するというのが抜本的には適正なのではないだろうかというのが私の意見でございます。
どうもありがとうございました。
○輿水委員 ありがとうございました。
下井先生に伺いたいと思います。
同じ内容なんですけれども、諮問機関への答申や意見、確かに拘束力というのはないものの、事実上影響力はあると思うんですけれども、下井先生の観点での内閣人事局の代償機能がどう果たせるのか、その辺の見解についてお聞かせ願えますでしょうか。
○下井参考人 人事院というのは、そもそも第三者機関でありますので、意見、勧告を言うというところが本来の機能であろうとは思います。それでも人事院は今までいろいろな機能を持っていたところ、それが移管されて、それで、それらについて一定程度の関与をするということになるわけですけれども、それについてどう評価するかというのは非常に難しいところでありまして、つまり、ある人事権がどっちになければいけないというルールはないわけですので、これは国会の判断である程度までは動かすことができるだろうと。
問題は、濫用を防止するための制度的仕組みがいかにビルトインされるかというところにあるかと思います。その意味では、今回、人事院が直轄していた権限があったのが、答申権、勧告権に移っていったということは、一つのあり方だろうとは思います。もちろん、先ほど先生御発言があったように、勧告や意見には拘束力はないわけですが、実質的な影響力は非常に大きいわけでありますから、その観点からすれば、法律で人事院の意見を聞くとか尊重するという定めがあるということは、極めて重い意味があるだろうと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
その上で、先ほど下井参考人の方から、幹部職員の今回の登用に当たって、成績主義の理念が弱められている、そういった御発言がありました。私も今回イメージをしてみまして、まず適格性審査があって、そして名簿がつくられる。ここで大事なのは、その名簿の中身が、成績主義というか、そういった中身もしっかりと備えた名簿になっていれば、まさにそういったところも担保されながらそれぞれの能力がある方の登用が可能になるのかなというふうに思うんですけれども、その辺についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。
○下井参考人 御指摘のとおりかと思います。
ただ、条文上、名簿作成の段階において成績主義というものを生かすといいますか、そういうことが「公正に行う」としか書かれていないので、保障機能はいかがなものかというふうに思っております。
以上です。ありがとうございました。
○輿水委員 ありがとうございます。
そして、その上で、朝比奈参考人に伺います。
まさに私も、内閣の一元化の中で、どちらかというと、例えば再生医療を国策として進めるに当たって、文科省もあって厚労省もあって経産省もあり、さらに外に広げるときに、いろいろな法律、そのためにあらゆる部門が協力をして機能的に動くような、そういう政策のコーディネーターというんですかね、そういった方がしっかりと内閣にいて、それがきちっとわかって、そのために、省益ではなくてその内閣が求めて進めようとしていることに対して具体的に進めるためのコーディネーター的な機能を持った方、また、そういったものがあればこのやり方というのは非常にいいやり方になってくると思うんですけれども、そういったことを具体的に運用の中で進める上で大切なことというかポイントとなることについて、御意見をいただけますでしょうか。
○朝比奈参考人 御質問どうもありがとうございます。
私は二つポイントがあると思っていまして、まず第一段階としては、内閣人事局しかないわけですから、やはり人事面で、先生御指摘のようなコーディネーターといいますか、全体を束ねて、そして一丸として進めていくような実際の人ですよね。こういった人が実際登用できるかどうかにかかっておりまして、今も、一応体制としては、本来であれば閣議で一体とした方針があって各大臣が任命権を持っているわけですから、理屈としてはできなくはないんですけれども、なかなか実態は縦割りになってしまうという中で、やはり内閣人事局の中で、先ほど先生も御指摘のあった、名簿の中に、場合によっては内閣の方の意向で人が入れられるというような……。
したがいまして、任命権者たる大臣の推薦を超えた、先ほど私の最初の陳述で申し上げた政令が重要になってくるんですけれども、そういうところで実体的な人を入れ込めるかどうかというところが第一段階として非常に重要かと思います。
第二段階としては、やはり人事ということだけではなくて、本来的には、先ほど杉田先生の御質問にもありましたが、司令塔機能というものを人事を超えた形で持つということが非常に重要だと思っていまして、その意味で、少し先の話になりますけれども、やはり霞が関全体の司令塔機能というものをどう見ていくかということが二つ目のポイントとして重要かと思っております。
以上です。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
まさに、この内閣人事局の体制の中でこれがいかに機能するか。それはもう、全体が見られて、その全体の方向性に合った人材をどう配置できるか、また、そこを連携をとりながらどう政策を具体的に進めるのかというところが肝だと思いまして、ここの進め方を今後はしっかりと確認をしながら私も見ていきたい。また、この法案はその第一歩というか、そういった形になる貴重なものであると思いますので、これが変な方向に行かないように取り組んでいきたいと考えております。
先ほど、今度はもっと具体的な問題で、昔、こちらの方で働かれていたということで、まさに質問通告も早目にやって、いろいろな政策を事前に練っていくことによって具体的に進められる、そういった視点もありました。
そういった中で、やはり今必要なことは、各官僚の皆さんも、今あることをただそのままやるのではなくて、全体観に立って、何が必要なんだろうという具体的な提案というんですかね、そういったものを持っていくことが必要だと思うんですけれども、今回、研修制度というものも各省庁で進めていく。その中で、今、具体的に日本が抱えている、そういったいろいろな問題に対して、問題意識を持ちながら自分自身で何かテーマを持てるような人材の育成、また、そのテーマを持ったことが何かの機会でどこかに伝えることができて、それがまた、議論ができる環境をつくることによって、公務員の皆さんのモチベーションも上がるし、また視野も広がるのかなというふうに感じるんですけれども、その点についての御意見をいただけますでしょうか。
朝比奈参考人によろしくお願いいたします。
○朝比奈参考人 御質問、どうもありがとうございます。
先生御指摘のとおり、具体的な提案を持っていける。私流に解釈して申し上げれば、やはり企画をしたり、実際の制度の設計をしたりというのは、大きなデザイン力、構想力というのがまさに肝心、大事かなと思っております。
これはちょっと私見になりますけれども、公務員だけではなくて、今、日本のいろいろな企業等々が抱えている問題の多くも、やはり大きなデザイン力、構想力、もしかすると大変失礼な言い方になりますが、政治においても非常に重要なのは、やはり日本発の構想力だったり、大きなデザイン力というのが非常に重要になってくると思います。
その点、では、そういう企画とか構想とか、こういう能力をどうつけるのか。日本はやはり細かい、物づくりですとか、官僚でいえば、言われたものをきちんと法律に落とすとか資料をきっちりつくるとか、そういうところは結構得意だと思うんですけれども、そういった企画、構想、設計をしていく上で私は二つのことが重要かと思っておりまして、一つは、先生の御指摘にもあったように、やはり広い視野というのをどう持っていくかということかと思います。
その点においては、やはり内閣人事局なんかを中心に、今いろいろな幹部を一元的に見られる体制をつくって、広い視野をどうつくるか。幹部育成課程なんかも今回盛り込まれておりますけれども、その辺の実際の運用というのが一つ非常に重要になってくるのかなと。
もう一つは、やはり、ふわふわした企画力、設計力だけあっても、これは現場と乖離した形になってしまって、日本の一部の製造業の失敗なんかにもそういうところはあると思うんですけれども、そういう意味で、ぜひ専門的な知見、これも同時に重要だと思っておりまして、その辺、先ほど意見陳述の際も申し上げましたが、日本の官僚の中にもなかなかその専門家がいないというような問題点もございますので、そこと、二つとも合わせてやっていくことが肝心かなと思っております。
○柴山委員長 輿水君、質問時間が終了しております。
○輿水委員 はい。
どうもありがとうございました。
今後の日本のそういった将来像をしっかりイメージしながら、全ての国家公務員の皆さんと力を合わせて進めるような、そんな国づくりを目指して頑張りたいと思います。
きょうは、貴重な御意見、ありがとうございました。