厚生労働省の2009年度・医療費動向調査によると、高齢化の進展に加え、医療技術の高度化等の要因により、医療保険と公費から支払われた概算医療費は、前年度比3.5%増、金額で約1兆2000億円増の35兆3000億円となり、7年連続で過去最高を更新したとのことであります。
ここで、この医療費の増大を、さいたま市の経済の活性化のチャンスと捕らえ、さいたま市に先進医療関連施設の誘致を積極的に進めながら、将来に亘る本市の繁栄と発展の道を切り開くための挑戦を、今こそ、始めるべきであると考えます。
さいたま市は、新幹線5路線(東北、秋田、山形、新潟、長野)が結節する希少な都市であり、国としても投資の集中が必要な、先進医療の拠点として、非常に高い可能性を秘めています。
この立地を活かして、先進医療集積都市としてのまちづくりを推進することにより、大型設備投資の誘導、雇用の促進、市民税、固定資産税の増収、内需拡大など、さいたま市の将来への希望の道が大きく開けるものと考えます。
ここで、国立がんセンター・がん対策情報センターでは、今日、国民の二人に一人が、生涯のうちに、がんに罹患すると推計しています。この「国民病」と言っても過言ではない、がんに対する、先進的な治療施設をさいたま市に誘致することは、市民にとっても、東日本の人々にとっても、大変に有意義な事業であると思います。
私は特に、「切らずに治す」「日帰りで治す」「通院で治す」、がんの先進的治療方法である、粒子線治療に着目すべきであると考えています。名古屋市では、がんの治療に苦しんでいる方も多く、さらに高齢社会の一層の進展が推測される現状を踏まえ、クオリティ・オブ・ライフを合言葉に、手術にたえられない高齢者にとっても体への負担が少なく、正常な組織への影響を少なく抑えられる、この粒子線治療施設の整備を、すでに進めています。
そして、同市は、この粒子線治療施設を東海地域の財産として活用していくために、がん患者が東海地域のどこの病院にかかっていても粒子線治療が受けられるように、愛知県はもとより、岐阜県、三重県の各病院との連携も進めているとのことです。
この「切らずに治す」「日帰りで治す」「通院で治す」がんの粒子線治療施設は、東京に隣接する関東平野の中心、新幹線5路線が結節する交通の要所であるさいたま市にこそ、誘致すべきものであると思います。また、多くの病院との広域的な連携、がん治療に関連する診断やリハビリ施設の整備、更に、粒子線治療やそれと併用される化学治療も含め、関連するする機器や薬品の開発・製造事業者の集積を図ることにより、先進医療集積都市・さいたまの骨格が形成されるものと考えます。
更に、このがんの粒子線治療施設以外にも、脳卒中に対する、マイクロカテーテルによる線溶療法や、超音波モニタリングによるステント留置、また、糖尿病に対する移植・再生医療、さらに心筋梗塞に対しての、メスを使わずに心臓の血管を治療するPICなどを行なう、先進医療施設の誘致も並行して進めながら、市民の、そして東日本の人々の命を守る先進医療集積都市・さいたまを構築し、将来に亘る繁栄と発展の道を大きく開くべきであると考えます。
(※この記事はさいたま市議会議員時代の記事です)