インド北東部のヒマラヤ山脈中に、ブータン王国という、大きさは日本の九州とほぼ同じで、人口は約66万人の国がある。現在、ジグメ・センゲ・ワンチュック国王のリーダーシップのもと、近代的な国づくりが積極的に進められている。
このブータンでは、世界の先進諸国が国家の繁栄の指標としているGNP(国民総生産)に代わる指標として、国民の文化的・精神的な満足度や、人間性の開発を重視したGNH(Gross National Happiness・国民総幸福)を掲げ国家の繁栄を築いている。
この国民総幸福を国の機軸にしているブータンは、政治や経済、教育や科学技術などあらゆる社会の基盤は全て、国民一人一人の幸福の為にあるとの思想のもと、子供や女性の人権擁護や平等な教育環境の構築など、精神の近代化が進められている。
インドの詩人・タゴールは「次の時代の文明は、経済的、政治的競争と利用にもとづくものでなく、全世界が社会的協同に基盤を置き、能率という経済的理想の上でなく、互恵という精神的理想の上に打ち立てられることをわれわれは望んでいる」と叫んでいる。
テロや紛争が絶えない今日、世界の自殺者が毎年約100万人いるとの痛ましいWHOの発表もあったが、今、この世界に最も必要なものは「国民総幸福」そして「世界総幸福」を指標とした人間性の再開発であり、精神の近代化ではないだろうか。
(※この記事はさいたま市議会議員時代の記事です)